温故知新 きのこソースの『トンテキ』

先日会津漆器を紹介する番組を視た。その伝統の技術や造形感覚には素晴らしいものがあって、ひとつ欲しいなあと思わせるものもある。
ところが作家さんの中には新たな領域にチャレンジするヒトもいるわけなのであって、思わずハッとする作品もあって楽しかった半面、古典的なカタチでもなければ漆の調色も現代風なパステル調…と見事にハミ出す作品もあるわけだ。う〜む、ソレって会津漆器って呼んでいいのですか?てな感じねえ、実物を手に取れば違うのかも知れないけれど、テレビ画面ではどう見てもプラスチック製品にしか見えないんだよな。ボクはそんな食器使いたくない、というのが正直なところである。

以前にやはり伝統的な日本の工芸品を制作する作家さんがフランス・パリの業者に提供を依頼されて、その方はハリキってヨーロッパスタイルの造形と色彩で新作を持ち込んだらしいのだけれど、先方から「私たちの求めているのはこれではなく、ジャポンのクラシカルな伝統なのですよ」と断られてしまった話を聞いた。結局その作家さんはこれまでの伝統工芸品をいつも通りに制作して、ようやく受け入れてもらえたとのことである。
そうなんです、新しい生活スタイルにフィットさせようと努力して創作したつもりが、ジツは非常に心地よくない結果しか得られないダサダサなモノになってしまったりもするのですな。思わずカン違いってことなんでしょうけど、そのカン違いな作品を喜んで買ってゆく消費者もいるのだから世の中いろいろなんだよねえ。
料理も同様で古典・伝統のレシピというものがある。健康の基準や嗜好の変化などによってそうしたものを変化させなければならない部分もあるけれど、大まかなところでは“変えてはいけない”のが基本である。そこから逸脱したものは看板としての料理名を語るべきではないとボクは考えていて、近年はそうした保守傾向が強くなってきている気がする。変えないこと、ブレないことの強さを信念にしたいし、そうした中にこそ新しいものの良さを発見することもあるのだな、いわゆる温故知新ってやつさ。
さて、もしかしたら月イチに近い頻度で食している『トンテキ』、決して飽きたわけではないのだけれど、いくら威力のある速球でも同じコースに投げ続ければ次第に目が慣れてきて打ち返されるのと同様に、やはりちょっとした変化というか工夫も必要な場合もある。


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しかしこれも決してこれまでのレシピを破壊してしまったものではない。従来のトンテキソースに数種のキノコとタマネギを加えて調理してみたまでである。
ところがコレはジツにリッチなお味になって素晴らしいものとなった。基本の味覚は伝統的なトンテキなのだけれど、そこにふくらみがあるというか、マルチプルな旨味の増加があって、これなら古典トンテキの愛好者にも喜んでいただけるものになった…と自画自賛したい。
忘れてならないのは相棒のアルコールね、まあ一等賞はビールなんでしょうけど、今年新発売になったビター柑橘系のシュワシュワもの、こいつもなかなかにいいシゴトをしてくれますよん。




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泥んこのやんちゃ坊主



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