牡蠣の湯豆腐  

 先日購入した土鍋の使い初めをしよう、と母君と食材を定めに出かけた。地元農家が直接納品しているコーナーにはミゴトな根深葱があり
「よしコレを活かす料理にしようではないか」
という合意はスグに出来上がった。



 産地指定と謳ったカキは兵庫県産で加熱調理用である。ムカシはカン違いをしていて加熱用は古いモノで生食用の方が新鮮なのだと思っていた。
フツーの食品ならばそんな考えもあながち間違いではないのだが、カキに限っては事情が異なる。
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 生食用はフィルターを通した海水の中で数日間活動させて、いわゆるドロを吐かせるという工程を経て剥きカキにするらしい。ヨケーな味を排出させてより美味しく食べようという工夫なのだろう。
 ソレに対し加熱用はそうした過程を飛ばして剥いてあるので、加熱して食べる際には逆によりミネラル成分の多いコクを生み出す仕組みになっているらしい。
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 実際には加熱用であっても生で食べるのには衛生上のモンダイは全く無いらしい。とんだヌレギヌを着せられた加熱用君で今更ながら申し訳なく思っている。

 さてそのカキを湯豆腐と共に楽しむには二つの約束ゴトがある。
一つは美味しい葱を用意すること、もう一つは旨いポン酢とかんずりを忘れてはならないということだ。
葱は上等の品が見つかったし
「がんたポン酢&かんずり
でカンペキなセッティングだ。
昆布だしの湯の中でカキをしゃぶしゃぶ…甘くトロリとした根深と共にポン酢で鎮めて口に運べば、冬の味覚の愉しみというものを深く実感できる。
合間に豆腐を食しては口をニュートラルな状態に戻し、再びカキの滋味を慈しむ・・・。

日本酒は欠かせないだろう。
昨晩は珍しくビールからではなくいきなり日本酒でスタートした。
兵庫のカキに広島の酒、同じ瀬戸内のモノ同士で非常に相性は宜しい。
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いつの間にか空になったボトルを満足した心で眺めていたが、遠く静岡でもこんなに質の良い酒がリーズナブルな価格で手に入るコトに「有難い」という思いを持つのである。