私を忘れないで…『プッタネスカ』

しばらく忘れていた料理があった。その名は「プッタネスカ」、正式にはスパゲティ・アッラ・プッタネスカと呼ぶ簡単なパスタ料理だ。

 神戸の友人Gの貢物の中にパスタソースが一本入っていた。最初は「なんだ、ただのトマトソースじゃん…フン」と思ったのだが良く見ると“プッタネスカ・ソース”ではないか。
添え書きには“忙しい中でもサッと作れるパスタ…という一説もあります”とあり、ちょっと笑いがこみあげてきてしまった。
ソレもそのハズでプッタネスカと云うのは“娼婦”の意味で、前述の正式名称は直訳すると“娼婦のスパゲティ”になるのだな。
 こんなふてぶてしいオッサンが買うのならモンダイはないのだが、一般の品行方正な主婦や思春期の青少年などがコレをテにとったトキの衝撃を想像すればとてもマトモな品名は付けられないだろう。
コドモなどに「ねぇお母さん、ショーフってナニ? ねぇねぇ教えて教えてよぉ〜、ショーフってなーに?」などとせがまれても回答に窮してしまうのがオチだし(おとーさんの方が詳しく知っている)と言って逃げるのもプライドが許さないだろう。で、そのおとーさんもまさか「世界最古の商売で…」などと勇気を奮って説明するワケにもゆかず「困った困った」と思案しているうちに夜は更けていってしまうのである。従ってこの商品には当然のコトながら直訳名は一切記載されていないのだな。
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 ナポリの名物であるこのパスタ料理に何故こんな名前が付けられているのかと云うと、諸説あるのだが代表テキなものは“忙しい娼婦は昼食時に海や山のものをテキトーに混ぜてパスタソースを作ったってハナシ…”という説のホカに“モクテキが違う客にはそんな凝った料理なんかは出してられるワケねーだろ”や“セクシーな娼婦を思わせるような刺激テキなお味じゃん”などあり、ドレも当っているような気がする。
 出来あいのこのソースには予めオリーブやケイパーなどが入っていたので、ボクはフレッシュトマトやガーリックそして鷹の爪などを少々加えて味を完成させてやった。
ナチュラルな酸味と香辛料のスパイシーさが、忘れかけていたパスタ料理の一品として鮮やかに復活した昨晩なのである。



エスピリトゥ・ドゥ・チリ
チリ/セントラルヴァレー 赤・MB 
カベルネ・ソーヴィニヨン100%


濃いルビーはややダークな色調
果実味も厚みがあるが、ソレよりウッディな余韻とキノコや枯れ草を思わせる隠れたカーテンが印象テキ
コノスルも真っ青なハイCPに脱帽





セミの抜け殻
こんな真冬までよく残っていたものだ

Afternoon,Feb.15.2009.