今が旬だよ『ニラ炒飯』

ニラの香りを嗅いでユリを想像する人はいないはずだが植物辞典では“ユリ科ネギ属の多年草”となっている。緑色の葉を食べるので花を見る機会は少ないものの、写真などで見るとナルホドその片鱗を垣間見るコトも出来る。

刈り取っても次々と新芽を伸ばし同じ株から年に5〜6回も収穫できると云うニラは、春から初夏にかけて出荷されるものが葉肉が厚く柔らかで瑞々しいし料理の種類を選ばず美味しくいただけるのね。
静岡では餃子の餡にたっぷりとコレを刻んで入れるお店も多く、薄く透けた皮から見えるグリーンが美しくまた食欲を誘ってくれるものだ。初めてニラ餃子を食べたのは北海道から静岡に戻って間もない予備校生の時で、ただでさえニンニクの香りが効いているのにニラまでが加わってダブルパンチの食味に視覚的なものも併せて衝撃テキな出会いなのであった。
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先日はいつもの炒飯に春ニラを入れて“ニラ炒飯”にしてみた。予想通りの味で、いつもの炒飯にパーン!と溌剌とした香りがプラスされて非常に美味しい。ニオイの元である硫化アリルはネギ類に多く含まれる物質だがビタミンB1の吸収を高める役割もあるし、豊富なビタミンEやカロテンは油脂との相性がよく、炒めものはそのメリットを生かすに向いた調理方法なのである。
そんなニラは中国や東南アジアで古くから栽培されていてわが国でも9〜10世紀あたりの文献から登場しているが、ヨーロッパでは現在でもほとんど見られるコトがない野菜なのだという。ニンニクをよく使うラテン系食文化なのにどうしたものなのかと不思議に思うボクは「イタリアやスペインの料理人ならどんな料理にしてニラを楽しませてくれるのかな…」と味の素の冷凍餃子をクチに運びながら考えてしまったりもするのだ。