錦松梅


初めて食したのはまだ小学生時代だっただろうか、朝食に登場したその“生フリカケ”にコドモの心は乱れに乱れ、まるで砂糖に群がるアリのように貪りついた記憶がある。
鰹節を削って味付けしたものはそれこそムカシからゴハンのオカズとして存在したのであろうが、ただのオカカでは飽き足らなくなった道楽者であっても様々な工夫を凝らしてココまで美味しく仕上げたのはリッパなクリエイターなのであり、後世に残る食文化として讃えるべきである。
白ごま、松の実、きくらげ…アトはナニが入っているのだろう。ちょっと甘みも感じる絶妙な配分が戦前から親しまれてきた東京・四谷の味として現在も引き継がれ、杉の経木で出来たハコを開けたときに立ち昇る香りがたまらないヨロコビを増進させる。
贈答品用として有田焼の容器に入った物も販売されており、当家の食器棚にはもう何十年も前のソレが入っている。時折出してきては“お徳用袋入り”から移し替えてリッチなフンイキを食卓に演出させるのだ。


株式会社錦松梅
http://www.kinshobai.co.jp/