越前の銘酒とキハダマグロの刺身

福井の友人が日本酒を送ってくれた。そんじょソコラにある酒ではない、年が明けて極寒の時期にだけ仕込む特別なお酒…寒造りの日本酒が蔵からあがってスグに届けてくれた貴重な品なのだ。


コレは生半可な肴ではとうてい太刀打ちできないと踏んだボクはイソイソとスーパーに急ぐのである。
本当は地の酒には地の料理…とあるべきだが、静岡それも哀愁のイナカ町では思うような食材はテに入らないのだな。越前ガニや焼サバ、そう合いの手には花ラッキョって云うのもいいじゃん♪などと夢だけ見るエロおやぢは「せめて新鮮な春の海産物でも…」と鮮魚コーナーをウロつくのだが、あいにく生シラスは漁模様が悪いらしく入荷していないし、桜海老はまだ禁漁期間中なので冷凍解凍モノしか並んでいない。
こんないーかげんヤローでも一応酒を旨く呑むためにイロイロ考えて肴を選ぶワケで、ソレなら白身の地魚でも…とキョロキョロ見回すが、養殖マダイや異常に高価なキンメダイなど食指が動かないモノばかりだ。イワシは沼津産で新鮮だけどこの酒には合いそうにもないし、ハマチは九州産で脂がのり過ぎってーのがなんだかねぇ…とラチがあかない。
ウ〜ム、いっそのことブナンかつスタンダードなマグロはどうだ!と見れば本マグロはジツに美味そうだが酒より高いモノになってしまうしトンボじゃ役不足、とやはりちっとも定まらない。
ところが救いの神はいたのよ、お手頃適正価格&この酒にピッタリなお味のマグロがあるではないか。マグロとしてはランクの高い種類ではないが、部位によってはかなりなパフォーマンスをみせてくれる“キハダマグロ”だ。
背の赤身は若干旨みに欠けるがハラ側の脂ののった部分はさっぱりとしていながらも適度なコクがあって、価格の割には満足度は高い。このハラモに近い位置にある赤身はスジっぽささえ気にしなければマグロ本来の持つ旨みが濃縮されたような美味しさがある。


切るとスジの部分から割れてしまうくらい良質なキハダだったのは運がよかった。もちろん食味もニラんだ通りで程良い美味しさである。
あぁ、酒が美味い… 
同じ純米の新酒でもコレは“山廃仕込み”によって醸造されたもので、手間と時間をかけて醸しだされるその風味にはレギュラークラスにはない深みがある味と香りが特徴だ。ゆったりと拡がりのある旨みはキレの良さがあって、まるで吟醸酒のようなフルーティーさがあるのに後味よく禍根を残さないような風情は、相反するバランスをどうやって解決しているのか…と感心してしまうのだ。
困ってしまうではないか、こんな酒を知ってしまうと今後の人生に多大な影響を及ぼしてしまうのだな。当面解決しなければならないモンダイとして、もう一本の“特別純米木槽搾り無濾過生原酒”ってヤツをどう料理するか…ってのもあるし。


美川酒造場
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Sora



Afternoon, April 05. 2010.