その手は桑名の焼蛤

桑名港へ

念願の“にゃごやモーニング”を「もっさんのcafe」でいただき、ミもココロも満足してキャプチャー君に乗り込んだ。さあ、今日は名古屋に来て初めての休日だ、お天気もいいしちょっと近郊までドライブでもしましょうか…てなもんだ。


LZOS  INDUSTAR-61L/Z-MC 2.8/50  @ SONY α7

それにしても暑からず寒からずの好天なのね。名古屋の西から三重県に向かって走る国道だけど、エアコンにはテをつけずに窓を開けたままのキモチよさといったらもう!なのですよ。

目指したのは三重県の東端にある桑名市木曽三川揖斐川を渡ればスグなのですな。
そして桑名と云えば「その手は桑名の焼蛤」なんて江戸時代からの駄洒落で有名な土地なのである。いいねえ、焼蛤。あっちっち〜!なんてハフハフしながら食す焼蛤を肴に地酒なんぞをちょびちょび飲る快感を想像してしまうけれど、まあ休日とはいえ昼間っからってのもあるし、それ以前のモンダイとしてクルマで来てるんだからさ、そーゆーご法度は慎まなければならないのだな。まあいいや、どこかテキトーに歩けばそれなりにいいお店はあるでしょ。ジツのところは或る程度目星はつけてあるんですけどね。
桑名港と云っても大きな防波堤や船着き場・水揚げ場・ドックなどがあるわけではなく、揖斐川の護岸に簡易テキな設備を設けて漁船を係留してあるだけのようである。

この日は漁師さんも休日のようで漁具のメンテナンスなどを行っている姿がチラホラ見えただけで静かなものだった。きっと漁のある朝などに来れば活気ある様子が見られるのかも知れないけれど、こんな風にのたりのたりとした風景もいいものだ。
遠くに伊勢湾岸自動車道の吊り橋や巨大アミューズメントパークの構造物も望むことが出来るし、それより何と言ってもウララカな小春日和に堤防に座ってのんびり眺める揖斐川河口、釣りに興ずる若者や犬連れ散歩の老人…平和なニッポンをしみじみと味わうわけなのですな。
お昼には未だ少し早いし、もう少し何処か見てみようかと「はまぐりプラザ」なる施設に行ってみたのだけれど、これがまた全く面白くない所でしてね、もう少し桑名のハマグリ漁の歴史や現況とか、ちょっとしたスーベニーがあってもいいんじゃないの?みたいな感じでしてね、リッパな建物が泣いていましたよ。
   

六華苑

桑名港から数分の場所に「七里の渡し跡」と「蟠龍櫓(ばんりゅうやぐら)」がある。那古野(名古屋の旧名)熱田と桑名を結ぶ東海道唯一の海路であり、その玄関口であった桑名の重要拠点でもある。


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熱田-桑名間が七里(≒27.5km)あったことからこの名がついたらしい。そして航海を監視する櫓は復元されたものとはいえ「蟠龍櫓」としてそ往時の様子を伺い知ることが出来る。内部は見学も可能で河口から桑名の街並みまでよく見渡すことができてなかなかに結構なものなのであった。

「七里の渡し跡」の大鳥居は伊勢神宮の大鳥居を20年ごとに移設するというキアイの入れ方で、この場所がどれだけ重要なものであるのかを物語っているのではないかな。
そしてそのすぐ近くには「住吉神社」という渡し船が出入りする入江と人々を護る神様が祀られているのだ。今回は時間や経路の都合で行くことはできなかったけれど、桑名市には多くの寺社が集まっていて伊勢の国と那古野の接点である由縁がよく理解出来る気がする。

その住吉神社と道を隔てた場所にあるのが六華苑である。1913年(大正二年)に完成したこの建物はジョサイア・コンドル氏という英国人建築家が設計したものだ。有名な東京・鹿鳴館の設計者でもあり和と洋が見事に調和した文化遺産となっているし、当然国の重要文化財に指定されていて、アソビでやってきた桑名にこんな建築物が存在するとは知らなかったので本当に驚きましたよ。
塔屋は四層で木造二階建ての洋館と池泉回遊式庭園が国の名勝にも指定される和風建築が相互の文化や歴史を融合させたものに仕上がっていて、決してドラスティックな印象を受けないところが素晴らしい。建築家も優秀だったかも知れないけれど、当時のニッポンの大工さんも相当にリッパだったことは想像に難くない。
入館料は¥310だけれども、しっかりと見ごたえもあってじっくり時間をかけて見学すべき場所だろう。入り口でスリッパに履き替えて巡る館内には静かに時が流れているかのような不思議な感覚をもたらすのである。


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洋館の照明器具と和風建築の構造コントラストが美しい。


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洋館から奥の和風建築に連なる廊下より眺める中庭。

MINOLTA  M-ROKKOR 2/40  @ SONY α7

六華苑
http://www.intsurf.ne.jp/~rokkam/

諸戸氏庭園

そしてその六華苑に隣接して「諸戸氏庭園」という名勝・重要文化財群がある。
へえ〜桑名ってどうしてこんなリッパなものがたくさんあるのでしょうねえ。豪商の隠居・日本庭園を名うての実業家が買い取り、増築したり拡張したりと素晴らしいものに育んでゆくその知性が素晴らしい。


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諸戸氏庭園
http://www.moroto.jp/

「はまぐり本膳」@川市

さてあれこれいろいろと見て回りサスガにハラも空いてきた。せっかく桑名まで来てるんだからやっぱり焼蛤が喰いたいじゃん…とはいうものの、前述したようにある程度の目星はつけてあるのよね。しかしそこがまた喰い意地のはったエロおやぢのいーかげんなところで、どこかテキトーなお店があれば鞍替えしちまっても構いはしないさとプラプラ歩きながら考えたりもするのである。

「七里の渡し跡」から東海道伊勢路への分岐点は桑名の花街になっていて(現在は鄙びた料亭や一般住宅が立ち並ぶ街並みだけど)サスガにその歴史と風情を感じ取ることが出来る。
特に史跡や遺構周辺は美しく整備されているし、またその住民も美観保持を怠っていないようだ。一軒の民家の軒先には白い山茶花が美しく咲きそろい、思わず足を止めて見入ってしまった。名古屋とその近郊は街路樹として山茶花が非常に多いのだけれど、たいていは赤やピンク色のものが多く白い花は珍しいのではないか。花期も長いし生垣や街路樹としていい樹木だよね。

また老舗らしき料亭の前の路は石畳になっていてなかなかにステキな街並みである。マンホールの鉄蓋も「七里の渡し跡」がモチーフにされていて全体が歴史美観地区テキな要素に満ち溢れているところがいい。
首都圏の百貨店などに多く出店している牛肉とお惣菜の名店もこの町が本社なのであって、その直営レストランの店先にあるメニューブックを覗いてみると、あれまあ素晴らしいお料理が提供されているじゃありませんか。ただしお値段もソレナリなのであって、庶民が平素の昼めしとして食すものとしては大幅な予算オーバーなのですよ。う〜ん、やっぱり予定通りにごくフツーのお店に入ろうじゃありませんか。
そのお店とは手打ちうどんがメインの「川市」さん、この辺りではごく一般的な“味噌煮込みうどん”の看板が真っ先にメに入っては来るんだけどね。


MINOLTA  M-ROKKOR 2/40  @ SONY α7

しかしこちらのお店で最も評価が高いのは桑名名物・ハマグリを使ったお食事なのですな。焼蛤はなかったけれど、え〜いそんなんぜんぜんオッケーじゃん、要はハマグリを喰えりゃ何だっていいんだぜい!とお気楽に構えて注文するのよね。

いただいたのは『はまぐり本膳』と云う名物料理の欲張りイイトコ取りのセットなのである。つまり「はまぐり鍋うどん」と「はまぐり天丼」が同時に味わえるわけなのであって。お値段は¥1500とはいえこんなに都合のよろしいセットも珍しいと思う。
ハマグリのダシが濃密に凝縮されたおツユに手打のうどんがよく合う。美味い美味い美味い!サイコーじゃん、いや〜永遠に啜り続けていたいお味じゃないか。そのハマグリもぷりぷりと弾力を失わない身肉と桑名の海の滋味がたっぷり閉じ込められたお味、いや〜参りました。
そしてもう一つのメインである「はまぐり天丼」ですな、メニュー表示ではミニってなってましたけど、実質はレギュラーサイズに限りなく近いものなのであって、大粒ハマグリの天ぷらが三つも入っているのよ。そして文句なしに美味いのだ。

もうハラいっぱいです。ちょ〜満足です。これならまた喰いに来たいなあ、いや必ずもう一度頂かなくては死にきれない…そう思えてならないほどこのお店のハマグリ料理は秀逸なものなのであった。
お手軽庶民価格で買える桑名の名産品としてはアサリやハマグリの『しぐれ煮』ってのもありましてね、出来れば地酒と一緒に購入しては彼の地の風景を思い出す肴にしてみたいと思ってはいるのですよ。(うふ、このあと漁港近くの製造元で「アサリのしぐれ煮」を買っちゃいましてね)まあそのハナシは後日また、ってことにしましょうか。


手打ちうどん 川市
三重県桑名市川口町32
TEL=0594-22-1709
ACT=11:30-14:00 / 17:00-21:00 火曜定休(月曜PM不定休)





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