でらうみゃ~でかなわんわ(13)

尾張ゴヤの中華めし 第一回

中国料理 好陽 #01

出張先の宿舎から歩いて行ける飲食店…そう、ボクはミもココロも汚れちまった一日のフィニッシュは例のドリンクで清めることを365日ジッコーしている関係上、クルマで行ってアルコールレスな食事ってのは有り得ないハナシなのでありましてね、しかしずっと宿舎に籠って独り酒ってのもなんだかなぁみたいなところもあるのでして、まあちょっとしたウサ晴らしも兼ねて土曜日の夕食(そして日曜日の朝食&昼めし)は外食でチャージすることにしているのだ。

そんなワケでネット地図(具体的にはGoogleMapなんだけど)で徒歩距離15分以内と思しき場所を検索してみると、う~んあまりないじゃありませんか…チェーン展開しているようなお店はいくつかあるけれど、個人店ってホントに少ない。
その少ない個人店の中にユーザーのクチコミがわりに好意的なものの多い中華料理屋さんを見つけた。まあ件のクチコミってやつはあまりアテにならないものであって、中には「ソレってオマエの個人テキ嗜好だろ」や「店員の愛想が悪かったのはアンタの態度がタカビーだったからじゃないの?」みたいなやつもあるから、そのまんま鵜呑みにするのは危険ではあるけれど、高評価が多いお店にはソレナリな理由があるのであってある程度参考に加えるのは悪いことではない。
一週間の勤務を終え、宿舎の風呂でアセやホコリとヨゴレを綺麗さっぱり洗い流し、歯を磨き頭髪も整え身支度をキッチリ行い…まるでデートに出かける前みたいだけどね、やはりそうして姿勢を正して迎える食事というものだからこそモノゴトを正確に捉えられるものだろうし、食事を提供する側にとってもある意味緊張感のあるサービスが自然に生まれるものなのよね~とボクは思うのだ。

風呂でカラダを温めてきたものの、寒風の中を15分近く歩いて到着するころにはもう喉がカラカラだ。先ずはビール!もうコレに尽きます。
瓶ビールは三種類あるけれど大手三社の代表ブランドで三種ではなくキリンのラガーと一番搾り、そしてアサヒのスーパードライで三種達成。後者はボクの好みではないので必然テキにキリン二種からのチョイスになるけれど、飲食店ならではのビンラガーがベストなんでないかい…てなことですよ、あぁ旨いなあ。
そして記念すべきファーストオーダーは『ニラ炒め』なのです。何でニラ炒めなのかって訊かれても返答に困りますよ、なんとな~くそーしちゃっただけですから。しかし程なくして提供されたそれを食してボクは確信した。「う~む、このお店ってかな~りいいみたい」なのである。
お味にハデなところはひとつもないけれど、そうねどっちかって云うと地味なほうでしょう、けれども基本がジツにしっかり座っているというか、安心して食べられるスタンダードさが心地よいのである。

そうした要素は料理人が陥りやすいワナがたっぷり仕掛けられた餃子にも表れている。初めてのお店なので『焼餃子』をお願いしたのだけれど、これがまたいい感じなのね。柔らかめの皮にニクとヤサイの程よいバランスの餡、バリッと強めに焼色を付けられたそれはクチの中でホロホロとその旨味と食感に分解されつつ、五感の全てのカリキュラムを稼働させる必要が生ずるもので、@400で七個という今どきにしては安めな価格設定をすっかり忘れさせる。いいねぇ、いいねぇ、美味いじゃないか、このお店。
TV番組「孤独のグルメ」で知った”酢コショウ”で食す焼餃子も試してみたかったけれど、ハナっから変化球攻めってのも如何なものかと思うし、それにボクは酢を入れないラー油+醤油で焼餃子を食すのがスキなんだ、きょうのところはそれ一本で楽しませていただこうじゃないか。それよりビールがもう空だ、よしもう一本いこう…今度は「一番搾り」ね。あぁやっぱり瓶ビールは美味いなあ。
入店時はボクひとりだったけど、ポツポツと来店客がやってくる。テーブルが3つと小上がりの卓が2つ、20人も入れば満席となる小さなお店でもご主人と女将さんの二人で切り盛りするにはけっこー忙しいに違いない。

調子に乗って飲み喰いしていたらヨケーにハラが減ってきた。ってね、アルコールのせいで満腹中枢がマヒし始めてるだけなんですけどね、なんだかもうひと品いただきたくなってきてメニューブックを再度眺める。
おぉちょっと変わった献立がありますな、『エビ天』ですって。中華料理屋で『エビ天』ってねえ、まあ和食の海老天じゃないってことくらいは解りますから、ひとつお願いしてみようじゃありませんか。
他の客の注文をさばきながらご主人がエビの調理に取り掛かる。タタッと出来上がったひと皿は洋食屋さんのプレートみたいな仕上がりだ。大海老のフリッターですと言われても抵抗はないだろうけれど、食せばその違いがハッキリする。
料理の盛りつけはフレンチやイタリアンそして今どきのカフェみたいにお洒落なものではなく、昔からある町の洋食屋さんの実質的なそれではあるけれど、逆に武骨な出で立ちのこれが気取らずにいただける食事であるし、そのマジメで正直で謙虚なご主人を表している気がする。いいじゃありませんか、ボクはこーゆー姿勢が大切だと思いますよ。
プリップリの大エビがほのかに香る中華の香辛料に包まれ、カラシ醤油のアシストを受けて輝く。美味いっ!いや~参りましたねえ、まさか尾張ゴヤしかも町の中華料理屋さんでこんな逸品をいただけるなんて想像もしていなかったものですから。
元は田畑だったと思われる住宅地、そこに通された一本の広く新しい道路沿いにあるお店。今はちょっとポツンと寂し気に存在しているけれど、何年かすればきっと賑やかな街並みに変貌してゆくに違いない。そしてボクはこのお店がとっても気に入って、その後足繁く週末通いすることになるのだ。

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中国料理 好陽
愛知県あま市乙之子元苗場6-1
TEL=052-445-1555
ACT=11:00-14:00 / 17:00-21:00 木曜定休



小牧の朝

これも昨年末
こんな空の日もあったよねえ

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