ボンクラに贈られた『牛のあみ焼き弁当』

いつもスーパーでの買い物は“見切り品”あるいは“おつとめ品”のプライス訂正シールの貼ってある商品検索から始まる。賞味期限が切れたものはサスガにないけれど本日限りとか翌日までといった寿命の短いものがほとんどなので献立計画によっては見送る場合もあるし、そのディスカウント割合によっては慌てて当日の予定のほうを変更することもしばしばだ。

その日は精肉コーナーの前にあるシマに他の特売商品に混じって1パックだけ高級和牛すきやき用ってのが置かれていた。遠目にも判る赤と黄色の縞模様プライスダウンシール!…その内容と価格をチェックするために慌てて小走りに近寄るエロおやぢ。おぉ〜ブランド牛ではないけれどレッキとした黒毛和牛肩ロース(と書いてあるので信じていいだろう)はスバラシいサシがびっしりで見ているだけでヨダレが出そうだった。
200グラムほどの量だけど枚数は4枚…ってことは一枚50グラム程度か、スキヤキ丼にするにはちょうどいい量だよな。お値段は¥1760の50%オフ、つまり¥880でこの極上牛肉が食べられると思うと反射テキにテをだしてしまった。
しかしちょっと待てよ〜、まだホカに刺し身とかお値打ちなやつがあるかも知れないし…と一旦カゴに入れかけたそれをショウケースに戻すのであった。ちょいとグルリと一周りしてきてからだっていいじゃないか、オトナはどっしりジックリ構えた買い物をするもんさ。

残念なことに他のお買い得品は見当たらなかったので先ほどのシマに戻ると主婦らしきアラフォー女性がさっきボクがテにとったパックを取り上げてしげしげと見ているではないか。「あの〜ソレってワタシのものなんですけど」と言いたかったけれど、そーゆー行為は社会道徳に反した言動なのでグッと堪えて待っていた。結果は推測通り彼女のカゴに収まっていったのである。
なんてこったい、万事休す。あ〜あの時誤った決断さえしなかったらボクは今夜至福の“すきやき丼”満点タイムを過ごしていただろうにな、チクショ〜っ!ココロ折れ打ちひしがれて帰宅するエロおやぢを待っていたのはハラを空かせて大泣きするガキが三人とやつれて化粧もせずに髪も乱れた女房ひとり…ってのはとんでもねー小説テキ展開で全部ウソですね、家人の食事の支度は無視してボクひとり分の酒の肴があればオッケーてな自由気まま空間なのである。
まあシカタなかったよね…冷蔵庫を探せばナニかあるでしょ。とチルドルームの扉をあければソコには先程の黒毛和牛パックが!じゃなくって、知人がご実家のある広島からお取り寄せしてくれた菊貞『牛あみ焼き』の経木包なのである。ありゃ〜すっかり忘れていたぜ、こいつがあればさっきの黒毛和牛なんざ要らないのよね、買わなかった…違う!買えなかったのは神様ホトケ様の思し召しかな。運が悪かったのか良かったのかよくワカらない展開だったけど、まあお粗末と云うかボンクラなエロおやぢに違いない。
さてこの『牛のあみ焼き』はその名の通りすでに焼いてある商品、なおかつ広島伝統の“漬け焼き”牛肉なので味付け状態になってるのさ。調理ってほどのことは全く必要がない。そう、ゴハンの上に経木包から取り出したそいつを乗せて〜添付のタレを少々かけまわし〜マキマキして〜あんぐりおクチに運べば極上のヤキニクゴハンとなって食すものを幸福に導くのだよ。あ〜柔らかで香りも良くて旨味もマキシマム、いいものをいただきましたよ、ご馳走さまでした。


肉の菊貞
広島県廿日市市串戸3-24-10
TEL=0829-32-8058 / FAX=0829-32-8573
ACT=10:00-19:00 (祝祭日は~12:00) 日曜定休




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