なると巻  

ラーメンの写真を見た友人が「あ〜ナルトが入ってる〜」とフシギそうなカオをしているので聞いてみると「とろろ昆布のうどんに色味として」くらいしか使わないのだと云う。
中華そばの具として必須だと思っていた“なると巻”だが、どうやら地方によっては違いがあるようなのである。

 江戸時代の文献「蒟蒻百珍」には既に記述がある“なると巻”は昭和初期に支那そばの普及が始まったのを機に一般化した。
現在国内消費の九割を生産しているのは静岡県焼津市で、大正末期からの産業であると焼津市水産振興会ではアピールしている。焼津と云えば鹿児島の枕崎に並ぶ鰹遠洋漁業の基地であり水産加工が非常に盛んなコトは知っていたが、なると巻の生産でそんな数字を誇っているとは思ってもみなかった。

 一般テキなイメージは白地にピンクの渦巻きであるが、コレが逆になっている地方や緑色の渦を加えて三食のもの、外側のギザギザ部分を紅く染めたものなど各地にヴァリエーションがあるらしい。
二色の練りものを重ねて巻くというデザイン重視の食品ではあるがレッキとしたカマボコの仲間であり、価格も普及クラスからデパ地下系超高級ハイソ向けまでバラエティーに富んでいる。
 由来・起源などは諸説あるがウズ巻そのものが無限・成長・生命のシンボルとして古来から使われてきた我が国の文化テキ背景も含んでいるだろうし、鳴門の渦潮にも似ているコトからこの名称が使用されているのではないかと思うのだ。
他の国ではお目にかかることのない日本オリジナルの食品だが、近年の和食ブームで海外での人気も高まっているようである。


でー「中華そばの具」はやっぱり“叉焼・シナチク・なると巻・茹でホウレン草・板海苔・刻みネギ”ってトコがコンサバティブだと思うのだが…
それともうひとつ、平仮名で“の”の字に見えるほうがオモテというコトなので、トッピングの際は注意が必要だ。