“井川メンパ”といってもご存じない方が多いのではないかと思う。「越すに越されぬ大井川…」の源流域にある静岡市葵区井川で昔から作られている伝統工芸品なのである。
もともとは林業に携わる人々の弁当箱である「曲げわっぱ」に漆を施したもので、ヒノキの板を曲げ加工したものを桜の樹皮で留め、錆色の朱合漆で仕上げた製品だ。
軽く堅牢で、補修しながら使えば何十年も愛用できるというまさにエコロジーの鑑なのである。ポットがなかったムカシは、コレで沢の水を汲んできては焼いた石を入れて湯を沸かす道具としても使われた、というくらい頑丈な作りもありがたい。
ボクがコレを知ったのは社会人になってからであるが、最初に購入した「男メンパ」と呼ばれる直径16cmほどの円形メンパはかれこれ20年以上使っているだろうか、ウルシが幾重にも塗り重ねられているのでハガレも少なく色合いにも深みが増してますます愛着が湧いている。
ヒノキやウルシの効果で抗菌効果や断熱効果もあるし、ナニより中に入れたゴハンが適度な湿度を保たれ非常においしく食べられるコトがウレシイのだ。
コメを上等なモノに変えたか…と思えるくらいゴハンが変身するのはなんともフシギなものだが、この効果を利用して“おひつ”も作られている。いつかはボクもテに入れたいと願ってはいるが、生産者が少なく48もの工程を経て製造されるため完成される数が限られているワケだ。非常に高価であることは製品の耐久性や機能効果を考えると妥当な対価なのだろうが、現在は完成までに半年待ち…という人気が恨めしくさえ思うのよ。
先日某国営放送の静岡局がタレントのさとう珠緒さんと井川を目指すSLの紅葉旅を放映していたが、現地の旅館で作ってもらった井川メンパのお弁当を食べた珠緒ちゃんもその魅力にすっかりトリコになってしまったようだ。
彼女のブログにもそのコトがアップされているのでご覧になってみてはいかがだろう↓
http://ameblo.jp/tamao-blog/entry-10161276718.html
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さて肝心の焼鳥重はこの井川メンパの小判型を使って盛ってみたのね。鶏肉は農民市場で購入した富士鶏、今回はネギを挟まず鶏肉だけの串焼きにしたのだ。
ゴハンに刻みのりを敷き、その上に焼きあがった鶏を乗せてちょっと一息…フタを閉めて約一時間ほどしてからいただいてみたが、まぁ!なんて美味しいのでしょう♪
焼きたての焼鳥とはまた違った旨さが生まれ、もちろんゴハンもふっくら。井川のメンパ職人さんに感謝の夕食なのである。
◆静岡県中小企業団体中央会
『しずおかの郷土工芸品・井川メンパ』
http://www.shizuoka-kougei.jp/017.html