2013 Noel Dinner

格安定食や大衆酒場などB級グルメみたいなものばかり好んで食している風に思われているボクだろうけど、おっとどっこいヤるときにはヤる、キメるときにはキメるのが人生の機微ってもんだい!と鼻息も荒いエロおやぢなのだな。

そりゃそうだ、年に一度の聖夜の晩餐…しかも大切な人と一緒に過ごすとなればソコラの食事処ってわけにはゆかないのだよ。いつもならテキトー行き当たりばったりで嗅覚を研ぎ澄まし(やっぱりいいお店と美味しい料理に出会うためには多少のリスクも覚悟しなくっちゃあねえ)などと新規開拓に勤しむのであるが、ココ一発勝負どころってときには歴史とか実績に裏打ちされた確実性も必要だ…ってことで、席とお料理の予約をお願いしたのはJR静岡駅南口から徒歩数分、つまりいつも利用するホテルからも同様という真に以って都合の宜しい立地にあるフレンチ・レストラン「comme des poissons(コム・デ・ポワソン)」さんである。
いや〜以前から気にはかかっていたんだよね、このお店。だってその名の意味は「ほとんどお魚」、海鮮料理好きなボクにはたまんないネーミングじゃないか。しかしいくらカジュアル系フレンチとはいってもソレナリなベクトルを誇るお店だ、おサイフの心配だってしなくちゃなんないだからさ。
さて指定された時刻にお店に入ると紅いテーブルクロスがRESERVEDの証、“2013 Noel Menu”と記された菜譜がそっと置かれていた。おぉ〜憧れのフレンチ・フルコース!
しかも『アミューズブーシュ』なんて“前菜のまた前菜”みたいなスーパー正式なものまで運ばれて来たではないか。お店のオススメと云うドンペリはグラスでさえとても注文できるプライスではなかったけれど、いちおー本物のシャンパーニュでMerryX'mas!と乾杯してこいつを先ずはクチに運ぶ。サクサクとしたパイ仕立てのナカミは軽い野菜系のペーストか、トッピングのブラックオリーブが見た目とお味の双方を引き締めて心地よい。

だいたい高級なフレンチでは料理名が異常に長いやつが多いけど、ご他聞に漏れずコチラでもそのようで前菜は『生ウニ・蟹・帆立貝と甲殻類ジュレ、滑らかなカブのクリームとご一緒に』というカンペがなければ憶えられない料理名である。
しかしちょ〜美味い。食材名を見ただけでその美味しさは想像がつくけれど、実際にクチに運べばそこにはただただ美食のHEAVENが拡がるだけである。そして少なく見えたその角型ガラス器からは次々と宝石のようなキラメキを放つ悦楽を以って意外なボリュームで次の料理への期待をふくらませ続けるのである。
『フランス産鴨のフォアグラのポワレ、雑穀のリゾットと栗のブルーテ』…いや〜こんなに美味いフォアグラを食したのは初めてだ。たいていはちょっと生臭くてクドいくらいのコクあり過ぎなものが多いのだけれど、このポワレにそんな心配は無用だった。例えはあまり芳しくないけれど絹豆腐のような滑らかさを持った内蔵料理というか、とにかくカット断面を撮影しておかなかったことをちょっと後悔している。レアなのよねレア、ジツにいい塩梅にポワレされている。雑穀のリゾットが少し硬めの食感なので噛みしめるとナチュラルな甘味がフォアグラの旨味に包まれその対比を楽しむ事ができる上、栗のブルーテがフレンチならではのエスプリを感じさせる。

真鯛ポワレ、軽いロゼシャンパンのソース』『国産牛サーロイン肉のポワレ、森のキノコのソース、野菜のソテーを添えて』…いや〜長いナマエ…そんなことはドッチでもよくって、とにかくこのお店のシェフ殿は塩の使い方がジツに上手い。夫々のお料理は筆舌に尽くし難い美味しさなのだけれど、一番印象に残っているのはやはり塩の加減の絶妙さというかサスガに魚料理をメインとしてアピールしているだけの技術力量が素晴らしいのよ。
『ヤルデンミュスカのスフレグラス、オレンジのクーリと共に』でコースはフィナーレを迎える。要はアイスクリームに近いサバイヨンであって軽くもなく重くもなく、ここまで食したお料理を総括するにふさわしいデセールなのであった。最後にいただいたコーヒーはなくとも、とても温かく豊かななキモチでお店を後にする。寒い師走の街を歩きながらいつもなら(こんなゼイタクなもん喰っちまってさ、バチ当たんねーか?)なんて思うのだろうけど、この日は(うん、今年も一年よくがんばったご褒美だよ)と納得のエロおやぢなのであった。




comme des poissons
http://commedespoissons.com/
静岡市駿河区南町2-14
TEL=054-283-3535
ACT=11:30-14:00 / 17:30-22:00 
月曜・第二日曜定休






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