エスカルゴ


陶器製のタコ焼器…ではない。
エスカルゴの調理に使う専用ココットなのである。
ネット通販某大手の“ワインのおつまみコーナー”で見つけてしまったこの一品、ついポチっとしてしまったのだ。

なんでもエミール・アンリというレッキとした名品らしいが、エスカルゴ以外に使いようがない…というマコトに以って単機能な道具なのよ。

肝心のエスカルゴはこのココットとセットになっている冷凍食品。オニオン・アッシェやガーリック、パセリといった調味料が加えられたバターに包まれ、夫々のねぐらに戻してオーヴンに突っ込んでやる…という寸法だ。
230℃に予熱されたコンベクション・オーヴンからはほどなくしてスバラシイ香りが立ち上がり、キッチンに幸せな空気を運んでくる。
   ◆◇◆◇◆
ビールやワインもソコソコにぐつぐつのココットにフォークを差し込み、まずは熱々を賞味しよう。
「美味い♪」
エスカルゴそのものはさほど味・香りがあるものではない。それよりもトリマキであるバターソースがキモなのだ。むろんエスカルゴならではのソフトな食感と舌ざわりはフツーの貝類からは生まれ得ぬモノだろうし、それだからこそフレンチの代表的な料理としてその地位と歴史を築いてきたのだから。

ソースの残りはバゲットにシミ込ませて効率よく頂こう。旨味が凝縮されたバターソースをしっかりふき取るようにパンを押し付け、ワインとともに堪能する…快楽の限りを尽くすようなひとときでもある。
本当は白ワインなのだろうが、昨晩空けてしまい在庫切れ。そのコトに夕方気づいてはいたが、とりあえず赤でもいいのではないか…と無精者は根拠のない言い訳をする。

シーザーサラダにはたっぷりとパルミジャーノを。
得意のペッパーミックスをミルして、エスカルゴのガーリックに負けないサラダに仕立て上げる。
コレで赤ワインとの橋渡しが出来上がり、言い訳も少しは真実味を帯びていたかも知れない。


ヴィーニャ・デル・ジェルソ・マルベック・ヴェネツィ
IGTのFB赤、かなり力強いボディーにウッディーでスパイシーな酸味を秘めている。アタックはソフトだがアトからずしりと豊かな果実味が訪れる。
こなれたタンニンと共に長い余韻が素晴らしいワイン、エスカルゴとの相性は意外に悪くなかった。

シメのデザートは今が旬のアメリカン・チェリー。
前日にバニラアイスクリームを紅ほっぺと一緒に食べてしまったので、昨晩はフルーツのみにした。
日本のサクランボとは趣が違うが、甘酸っぱく力強い香りのチェリーは呑み助のカラダには特別な効能があるらしい。
短い期間しか楽しめないのが残念だが、ソレもサクランボの魅力のうちなのね。



今朝の富士山
朝霞に陽光が射し、金色に輝く初夏の冷気


2008.05.15. 05:14 @Fujinomiya