食べてもいいの?『生ウニのクリームパスタ』

痛風の発作が起きる前からどうもウン気は低迷していたようでいつドコに行ってもお目当ての食材が見つからず、クチの悪い友人からは「ソレを使う料理を明らかにしない限り見つからない」とまで脅迫されていた。

しかし苦しみのアトには必ず光明が訪れるもので、もしかしたらトイレでの苦行難行もそのヤク落としだったのでは…とさえ思えてくる勝者の論理なのである。
そう、探していたブツは“生うに”なのであり、寒いこの時期にこそ食べて価値のある“生ウニのクリームパスタ”を作って食すコトが目的だったのね。刻一刻とその賞味期限が迫る乳脂肪分46%の最高級クリームはしっかり冷蔵庫で陣後を守っていてはくれるものの、生うに探索失敗が三度続いた直後に痛風特攻隊の雷撃を受け甚大な損傷を負いながら病の床においてもその夢を追い続け、ぷち復活お買いもの一発目でミゴトその目標を捉え作戦を成功に導いた功績は誠に以って素晴らしいコトなのである。
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さてクリームにウニを加えてソースを作れば美味しいパスタが出来上がるのは判っているが、問題はその彩となる“つけあわせ”なのだ。
春らしく“菜の花”というテもあるがウニの鮮やかなオレンジ色を黄色い花が殺してしまうような気がしてボツ。どうしてもグリーン系を組み合わせたいのだがアスパラではこの時期の季節感は出ないし…と悩んでいたところ「静岡県産・砂糖サヤ」というピカピカなヤツがあるではないか。しかも80gほど入ったパックが¥128と安いのも魅力だ。
コイツはデコボコはしているが“スナップエンドウ”の一種でサヤ部分が柔らかく茹ででマヨネーズをつけて食べると大変美味しく、パリパリサクサクとした歯ごたえといい香りが同時に楽しめるヤサイなので、飲食ギョーカイでも近年は料理のジャンルを問わず活用されてグルメを満足させている。
濃厚でクリーミィなウニソースに砂糖サヤの鮮烈な香りとほろ苦さがアクセントになって至高の美味さ、モノゴトの全てを知りつくして重みもあれど品格を失わない豊かさはクリームパスタ界の水戸黄門と言っても大袈裟ではない。
ボクは昼食の内容をほぼ毎日友人宛てに写真を添えたメールで送るのだが、昨日はあまりの美味しさにケータイのキーを打つ手の震えが止まらなかった。
それくらいの感動をもたらしてくれる早春のパスタなのである。う〜ん、でもいいのかなぁ食べても…まだハレも痛みもひいていないのにさ。