フルーツの日と虫の知らせ『房州枇杷』そして『熊本メロン』

この時期にほんの少しの間出回るビワは、静岡県内だと桜海老やシラスで有名な由比の特産だ。潮風の当る国道一号線バイパスを走っているとずいぶん早い時期から白い袋を被せた実をつける樹々が並んでいるのが見え、優しい香りでほんのりと甘いビワの味を思い出したりもする。

そうした地元のモノか九州産しか食べたコトのなかったボクだが数年前に房州枇杷が大きくて甘い優秀なものであることを知り、一度は食してみたいものだと思っていた。
心優しき千葉の友人はそんなボクを察してミゴトな大粒を手配して送ってくれた。キレイに整列されてハコ詰めされたビワを取り出し、竹笊に積んではぼんやり眺める夕方… チョットだけ冷やして、そのはんなりした味を楽しもう。母君の大好物でもあるし少しお裾分けかな。
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もうビワのコトで頭がいっぱいになっていた夕暮れ時は今晩の食事をナニにするかまだキメられず、少し苛立ちを感じている所に家人が帰宅した。手にしているのはビニール袋に入った大きな物体で「カイシャで貰った」という。
開いてみればなんとまぁリッパなネットメロンだ。コチラも静岡では袋井辺りが高級メロンの産地で、桐の箱に納められデパ地下の贈答品コーナー最上段にウヤウヤしく奉られているものはたいてい“静岡温室メロン”のシールが貼られ庶民にはテの届かないハイソ系メロンなのである。



関東では茨城県の鉾田が優秀なメロン産地として名を馳せているが、九州勢も負けじとこうした高級農産物にもチカラを入れており、その一角である熊本産をヒョンなところで味わえる幸運に恵まれた昨日なのだ。
先日札幌から送られてきたアスパラをパスタで食すために生ハムを購入した時に「すこし余分に買っておくか…」とストックしておいたモノがあったのは、あまりに都合の良過ぎる偶然だろう。早速メロンを切って“生ハムメロン”を堪能しようではないか。
溢れる果汁と高貴な香り…そう、やはりスバラシいのね♪ タネの周りにたっぷりと湛えられているジュースは決して捨てたりしてはならないのよ。受け皿と小ザルを用意しておきスプーンで丁寧に掻き出してはソコに落とし、そのまま飲むもよし牛乳に混ぜるもよし…バニラアイスなどあれば無上のヨロコビが待っているのだな。


しかし“生ハムメロン”はオードブルみたいなものなのでコレだけでハラいっぱいにするにはムリがある。虫の知らせだったのか、またもや都合よくバゲットを一本とオリーブやドライトマトをあしらったフォカッチャをGUCHIPANさんで購入してあったのだ。
バゲットは焼たてならそのまま食すのがサイコーで、岩塩を少々とオリーブオイルをつけながら口に運ぶともう止まらない勢いとなり、自動テキにワインの消費量を増加させてまう欠点がある。
「ウ〜ム、やっぱり白ワインを用意しておくべきであった」
ソコまでは都合よくいかなかったフルーツの日である。