『茗荷』なくしてソーメンを語るべからず

当家の庭にはカッテに茗荷がニョキニョキ出てくる。日陰の湿った場所を好む植物と言われているが、その場所は日当たりも良く水ハケも悪くないのでなんともフシギなのである。


温帯の東アジアでは野生種もあるようだが食用にするのは我が国だけらしい。小さいころ母方の祖父が味噌汁に入れ喜々としている姿を見ては「おえ〜、よくこんなクサいもの食えるよな〜」とキライな薬味の代表格だった。
ところがいつの間にか茗荷独特の香気がヤミツキになり、まるで麻薬のようにそのトリコになってしまっているジブンがいた。その主役たる香りの成分はα−ピネンという物質で食欲を増進させたり発汗作用があるというから生姜と一緒ではないか。

そう、ミョーガはショーガ一家の子分で穏健派なのに対し、パクチーを親分とするセリ一家はミツバなども傘下に収めそのカゲキな振舞いで好き嫌いも別れるところだが、そんなにミョーガと仲が悪いワケでもない。
ネギ一族は調子が良いのでどちらの陣営ともうまくスリ合わせをして上手くやってはいるものの、一部の個性派有力ネギを除き単独でソーメンと渡り合えるヤツはあまりいないのが現実だ。
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ソーメンの薬味といえば刻みネギ、おろし生姜、糸切大葉そしてこの茗荷などが代表で、脇役に抜擢するのは茹で海老やシイタケの甘辛煮などもステキだ。もちろん野菜や魚介の天ぷらなどが登場すれば主役を食ってしまうほどスバラシいが、そんなハデな大舞台でなくとも場末の芝居小屋でひっそり演じられる情話のようにキャストを排除した“ソーメンとミョーガの密やかなカンケー”が味わい深くまたシミジミと心に残るのだな。
「茗荷がないならソーメンなんか要らないっ!」と突っぱねたくなるくらいアダルトな魅力満載のミョーガなのである。








昨夜の富士山
サスガに梅雨も明けると空気が澄んできますね
山小屋の照明や登山者の持つライトがよく見えます
そして星空までも…



2009.08.08. 21:42 @Mannohara, Fujinomiya-City
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