喧噪の午前、『肉うどん』の午後

近所の家が売りに出されてしばらく空家になっていたが、少し前にどうやら買い手がついたらしくリフォームの職人が入ってニギヤカな音をたてている。オマケにその向かいの家で飼っている二匹のイヌが市の広報や物売りの拡声器に異常反応して鳴いたり吠えまくっていてウルサイったらありゃしない。

0120のフリーダイヤルで電話をかけてくる物品販売の業者、貴金属の売却を迫る若いオトコや集会参加を募る宗教団体のオバサンが鳴らす玄関チャイム。改造バイクの轟音を撒き散らしては虚勢をはるバカ野郎、階下のエレキギター弾きはリズム感もあまり宜しくないし、だいいちチューニングが怪しい。デカい声を張り上げれば明るく目立つと思いこんでいるアホ2世タレントの声や、いかにも脳ミソ空っぽってカンジのコギャルが「もう手放せないカモ」などと意味不明な説明をする美容石鹸CMが響くテレビ放送… あぁ世の中はどうしてこんな騒音だらけなのだろう。そしてそうした不快な音の洪水が午前中のひと時に集中してしまうこともあって、平素はテメーが騒音をタレ流しているクセに「静かに暮らしたい…」などとカッテなことを主張するエロおやぢはバクハツしそーになってしまうのだな。
しかも行きたくもない病院に通うための支度をしている最中にアレやコレやと中断させられるそうしたアクセスには苛立ちがピークとなってキレキレなのである。あ〜もうやだ!
   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
逃げるようにお家をアトににしてしまえばクルマの中はFMラジオの放送と、まあもしかしたらあるかも知れない携帯端末のメール着信音くらいのものだ。ジブンだけの空間、あ〜極楽極楽。

病院の待合室は静かだ。いつも空き始める午前の遅い時間帯を狙ってゆくのでヨケーにそうなのかも知れない。この日はおしゃべりなババが一人いてちょっと神経を刺激してきたが家に居るよりは遥かにマシだった。
バッグから文庫本をとりだし活字を追う至福の時間、ずっとこのままコールがかからなければいいのに…と思ったりもする。待ち時間が長ければ長いほどいい…なんて事柄は滅多にないだろうなあ。
主治医との面談やクスリの受領も終えてお家に帰った時には午前中の喧騒がウソのように消え去っていた。あ〜ハラへったなあ、寒いからうどんでも喰うか、ちょっとニクなんぞ入れちゃったりもしてさ。美味い…
中古売り物件のリフォームは一段落なのだろうか、時折キィ〜ンという電動ドライバの音が聞こえるくらいだし、イヌも昼寝の時間に入ったのかな…、テレビも電話も沈黙したまま。これでいいのよ。静かな午後は肉うどん。



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夕方散歩に出かけたら赤いものばかり見つけましてね…




ツルウメモドキの実






カナメモチの新芽






トキワサンザシの実

December 19-22. 2011.