欲望と落胆の『土用丑』

墓参のあとに極上のうな重を食すことができたので今年の夏に悔いはないのだけれども、今になって考えてみればずいぶんおバカなことをした土用丑であった。
たまたま前日にMZYデパ地下に行く用事があったので鰻割烹として有名な某老舗の蒲焼をひと串購入してきた。そう、土用丑の昼食弁当は『うな重』と洒落込むためだったのね。

朝起きて件の蒲焼を蒸し直し、ほんの少しだけ焼いて井川メンパの弁当箱に詰めて持って行った。焼きたてはふっくらしていたのに、やはり弁当箱に詰めて数時間も経過してしまえば若干その加減は芳しくないものになってしまうのは仕方のないことなのである。
しかし食して驚くのは見た目より遥かにその美味しさがキープされていることであって(う〜む、サスガに老舗のウナギは質の良い物を使っているんだなあ)なのである。ああ美味しい!つまらない労働の合間に食す昼めし弁当にはこれ以上のゼイタクはないでしょ。

それで満足しておしまいにすればよかったものを帰路の車中(今夜の一杯の肴はナニにするかな)と云ういつもの思考タイム中に、たまに利用する魚屋さんが「土用丑にはお店のソトで鰻蒲焼を焼きながら売るから来てよね」と言っていたのを思い出してしまったのだな。
おいっ!昼めしにウナギ喰ったんだろ?もういいじゃないか… だって魚屋さんが実演販売してんだよ、きっと美味しいに違いないしさ、それにふっくら焼きたてを味わいたいじゃないの、土用丑なんだから… 予算はあるのか? 多分大丈夫…てか家人の夕食材料費をソッチに回せばいいんだな… じゃあ家のヒトの食事はどーすんの? 知ったこっちゃね〜よ…
まさに欲望渦巻く夕どきなのであった。
家人の夕食は冷凍庫や冷蔵庫にストックしてあったものをテキトーに組み合わせてゴマ化しておいた。それより今日は土用丑なのよ、昼間も喰っちまったけどさ、ヨルもそいつを肴に一杯飲って明日への活力を漲らせようではないか!てな寸法である。

家に着いたときにはまだ熱々だった鰻蒲焼は、風呂や夕食の支度という諸々の定例コースをこなしたアトでもまだほんのりと温かだった。いいぞ〜、冷たいビールをぐび〜っと飲って、そのあと冷酒をきゅ〜っとイって、キモ焼の串にテをだして…ああ、ユメのようではないか。
期待に胸がバクハツしそうになりつつ夢想した通りの行為に及ぶ。二種類の酒までは思い描いた展開でキブンがよかった。へっへ〜♪先ずはキモ焼串から…ん?なんかヘンねえ、ちょっとナマ臭いカンジもしないでもないし。あんまり美味しくない。うん、きっと気のせいだよ。
ん〜じゃあ気をとりなおして蒲焼を… ん?イマイチの風味だし、旨味もあまりないカンジ。タレも甘すぎて後味最悪かも…これも気のせい?そんなこたあねえだろ、確実にハズレたってことね。
ん〜一昨年食した別の魚屋さんの鰻蒲焼はめっちゃ美味かったんだけどな、今年はねえちょっと失敗しちゃったみたい。いくら土用丑だからと云っても一日に二度もウナギを食べようとしたエロばかおやぢへの天罰か、落胆の宵は更けゆくのであった。



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富士山は昨日の夜明けの空
ピンク色に染まってキレイだったのよ
星空富士山を撮ったときにはちゃんとカメラ持ってソトに出たくせにね、三脚持ってくるのがメンドなもんだからさISO感度上げて逃げちゃったのね
で、こーゆー肝心なときにスマホ?バカじゃね〜の



5:08AM, August 22. 2013. @Fujinomiya-City