庶民派居酒屋決戦!静岡-神戸ガチンコ勝負…その1・静岡編

昨年の神戸サミットでは大阪の十三まで出かけては飲み歩きをし、オカゲですっかり庶民派居酒屋のトリコになってしまったエロおやぢなのだな。今年はその神戸の友人に地元・新開地の居酒屋さんへ案内してもらったのだけれども、ちょっとその前におチバから訪ねてきたおねーさんと一緒に行った静岡の老舗居酒屋さんを紹介してみたくなったのよ。まあ“静岡-神戸ガチンコ勝負”なんてテレビ番組のように無意味に扇情テキなタイトルだけど、それぞれに特色があってジツに楽しいではないか。
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「大村バー」というナマエからして昭和っぽい。このお店はボクが大学生のころから知っていて、当時はオジサンの行く安酒場みたいなイメージがあってとても行く気になどなれない場所だったのだけれど、いざテメーがそーゆー年齢になってみればこの上なく愛しい存在として“一度は行ってみたいアノお店”みたいなアコガレに変身してしまうところが人生の妙なのである。
赤提灯が脇でムラムラ欲望光線を放出している白暖簾をくぐればその店内は作りものではない昭和の風情が厳然と佇む。大きめの小上がり、そしてお決まりのU字型カウンター席…そこに集う人々の会話や店員さんたちの威勢のいい掛け声が焼き物・煮物・揚げ物といった食べ物の匂いと渾然一体となってものすごいエネルギーが押し出されている。

店員さんの声の威勢がいい…とはいっても、近年の若者向け焼き肉店や居酒屋のようにムダにデカい声でお迎えのコトバや注文の復唱をしては「ヨロコンデ〜!」などと体育会系接客をしているお店とは基本的に文化のレベルが違うのよ。そーゆーお店は注文されたものを忘れたり提供遅れなど日常茶飯事なのだが、こうした老舗の店員さんたちは“この道〇十年”みたいなベテラン陣がしっかりその役割を全うしているので本当にストレスのない飲食が出来るのよね、そうジツにキモチのよい時間が過ぎてゆくのだ。
先ず酒の追加注文に(聞き耳をたてているんじゃないか…)と思うくらい素早く対応してくれること。そして料理の提供がびっくりするような速さで行われるということ。彼らにとっては当たり前のことなのかも知れないけれど、客にとってはソコがツボなのであってまさにカユいところにテが届いている状態が常時満席の老舗庶民派居酒屋たる由縁なのよね。

だからといって酒器がお粗末とか料理の盛付が雑だとかいったことは全くなくて、本当に丁寧なシゴトをしているところがまた素晴らしい。取り急ぎの酒の肴に注文した千円にも満たない地魚4点盛りに8種類もの薬味や添えものが施されているお店はそうあるものではない、と云うことはこのテのお店によく行く方ならスグに感じ取ることが出来るだろうし、また肝心の地魚の鮮度や質が極めて高いことでさらなるヨロコビに満たされることになるのだな。

個々のお料理や酒についてここでエロおやぢが述べる必要はないだろう、ナニがどんな風で酒のナンタラが…といった類の情報なら食べログとかその他個人のブログやサイトを覗けばいくらでも出てくるからソチラを御覧くださいませ…ってところかな、ボクはそんなことよりこうしたニッポン独特の食文化とそれを守っている人々にとっても興味があるのだよ。

面白かったのは厨房で焼き物食材の下準備をしてカウンターにある焼き台に運び、そこで比較的お若い店員さんが焼く。そして焼きあがると再び厨房にそれが戻されてキレイに盛付されて客席に運ばれる…という流れになっていて、そのテキパキとした分業シゴトが見ていてジツに面白い。
体力勝負の焼き台は若いヒト、熟練のセンスが必要な仕上げ作業はお年を召したベテラン…なんていったい誰が考えだしたのだろう、まるで一流のレストランや料亭と一緒ではないか。
ふと思い出したことはボクも若いころ老人をバカにしていたフシがあって、確かに記憶力や瞬間的な機転など若い方に及ばない部分もあるのだけれど、人生経験の浅い方にはとうてい達することの出来ない境地=長い年月を経て積み上げてきたものだけが持つチカラってもんがあるのだな。あとわずか数日で五十歳も後半にさしかからんとするエロおやぢは痛切にそうしたものを意識するのよ。

お店のメニューにはさして目新しいものや流行りのものはない。すべてムカシから綿々とここを支えてきたごくフツーの居酒屋料理が並んでいるだけである。しかしそこがいいのだ、それでいいのだ。
そしてどうやらここの名物は『湯豆腐』らしくしっかりそれを味わってみたかったのだけれど、訪問したのは9月の中旬でちょっとまだその時期じゃなかったのね、残念。ホームページではその再開をアナウンスしているのでぜひぜひ寒い季節に有り難いそいつを頂きに行きたいと思っているのよ。いいねえ、燗したお酒と一緒にさあ…


大村バー
http://ohmura-bar.com/
静岡県静岡市葵区人宿町1丁目5−8
TEL=0120-52-2317 / 054-252-2311
ACT=平日16:30-22:00 
日祝15:30-21:30 木曜定休





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