盆の入りには迎え火を焚き静かなお食事を

お昼は坐坊さんで極上のトキを過ごしたあとデパ地下でお買い物を済ませて帰宅した。ランチにスゴいもん食べちゃったからねえ、夕食は楚々としたテキトーなもんでいいのよ…酒さえあれば…てなエロおやぢだったけれど、母君もそんなフンイキだったので出来合いのゴーカ惣菜などは見送ってシンプルなものを購入しただけなのである。

夕方帰宅するとまだソトは蒸し暑くムンムンのさなかであった。当家の菜園はこのところお手入れも怠りがちになっているとはいってもいろいろな種類のヤサイたちが実を結んでいるのでタイミングよく収穫しないとダメにしてしまうのよね。
そんなワケで涼しい格好に着替えてその作業に勤しむのである。胡瓜はちょっとでも放っておくとオバケのようにバカデカサイズに成長してしまうのでとにかく(ちいっと小さいかなあ)くらいでも採ってしまったほうが正解だ。大葉・ミニトマト・万願寺唐辛子・カラーピーマン…ついでにメにつくものを手当たり次第カゴに入れてきたけれど、さて採ったはいいけどコレってどうやって消費するの?なのである。まあなんとかなるさだけどね、なかにはメンドな調理をしなくちゃならないものもあってアキラメの夏なのだな。
さて先日ボクは“石川県産あずき貝”ってのを哀愁のイナカ町にあるダサダサスーパーで見つけて美味しく食したのだけれど、そのテの貝類は買い物の折によく見るのでさほど気にはしていなかったのよね。ところがデパ地下でそいつを見つけた母君は「まあ、珍しい!」と大層な興味をお持ちなのである。そうかね、食べてみたいかい…ということで購入した。デパ地下の仕入れは“秋田県産海つぼ”となっていて今は日本海側がその旬なのかな。

ヤサイの収穫を終えると薄暗くなりだしたので“迎え火”を焚くことにした。当家に於いては恒例のイベントだが、これも他府県では違うシキタリがあるのだろうか。あの世に行った故人が一時帰宅する道に迷わぬように…との思いが込められた行事らしいが、この時期に出没する害虫などを忌避するモクテキもあるんじゃないかなとボクは思うのよ。
まあソレはヨシとして迎え火のセッティングを終えたので早速夕食の支度なのである。『海つぼの塩茹で』はカンタンだけれど、火を止めてから常温まで冷めるまでちょっと時間がかかるので最初にテをつけることにした。塩・酒・醤油をテキトーに入れた汁でコトコトと20分ほど、アクを取り除いて放置しておくだけで美味い煮貝が出来上がるのは有り難い。

いつもたいてい先っぽのワタが千切れてしまうものが幾つかは出るものだが、今回はどーしたワケかパーフェクト賞なのである。お味は先日の石川県産と同様、やや堅くてしっかりとした歯応えなもののお味はピカイチだ。母君も「懐かしい!」を連発してこんな貝類を亡き父と共に食した日々の思い出をを語った。

やはりこうした肴には日本酒がよく合う。この夜は酒屋で見つけた地元の製品“富士正酒造”さんの「富士のかさ雲」をいただいてみた。
純米酒だけに柔かな香りとスッキリしたノド越し、麹の香りにもクセがない味わいで和風の海鮮料理には申し分のないお酒である。
以前は富士宮の地酒は某2社を除きアトはダメだと思っていたけれど、どっこい地道な努力を重ねてきた結果なのか今はどの酒造のお酒をいただいてもハイレベルな美味しさを楽しめるようになった。それぞれに個性はあるけれど人口が10万人そこそこなのに地酒にこれだけ恵まれている町(五つの優秀な酒造が存在する)も珍しいのではなかろうか。それも富士山が育んだ名水のオカゲなのかもね。
それにしてもこのラベル、シブくていいね〜

お刺身は千葉県産の赤貝を除き地元水揚げのもの、やはりデパ地下の商品は頗る品質がよい。お値段だって一般に警戒されるほど高くはないし、むしろその食味と品質や鮮度そして安全性を考えれば安いものだと思う。
ちかごろは消費税率変更に便乗してほとんどダマシ状態の値上げをしている小売を見かける。塩鮭の切り身は同じ値段だけれどもグラム数は確実に減らしてあるし、焼鳥の生串10本パックも以前は税込み表示だったのに同じプライスで税別になっていてしかも本数が10本から8本に減った。オレはダマされないぞ!と吠えても改善の兆しどころか、どんどんそーゆー傾向が肥大してゆく様子には閉口しているのよ。おっと、せっかくの美食が台なしのヘイトスピーチだよね…元へ。

フォトは押さえなかったけど自家農園のヤサイなどを使いサラダを始めとした料理をいくつか作ったので白ワインも開けた。そう、和食ばかりでなく洋食っぽいものもテーブルに並べたからね。
ケッサクだったのはつい数日前にマヨネーズの在庫切れをうっかり起こしてしまい仕方なしに“自家製マヨネーズ”を作ってみたことに始まった。何年かぶりにそーゆーマネをしてみたんだけどコレが実に美味いのである。そりゃそうだよな、純粋な食材しか使ってないし作りたてだから美味いに決まってるってもんさ。
ソレに気をよくしてこの日も「ちょっと作ってやろうか」と母君の前でいいフリこいてみせようとするバカ息子。ところがいくら撹拌してもこないだのように乳化した液体が次第にゲル化してマヨネーズソースとなる兆候がみられないのよ。なんでだろ〜、もう一旦そうなるとどうにも取り返しのつかない失敗なのであって諦めるしかないのだな。まあ多少ヨッパ状態でやったから初期設定とその処理に狂いが生じていたのかも知れない。タラタラの乳液状態マヨネーズ味みたいなドレッシングをかけて食す新鮮ヤサイ!苦笑いの中にも静かにお盆初日は更けてゆくのであった。



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久しぶりに朝からクッキリ富士山


7:36AM, August 19. 2014. @Matsuoka, Fuji-City