日常テキ朝食と非日常テキ夕食

このところ連休の初日のヨルはつい飲み過ぎてしまう傾向にあってハンセーしなければならないのである。気のユルミってやつか。朝起きて(あ〜やっちまったなあ…)なのだけれど、若いころのようにどーにもならない二日酔いではなく軽い“酔い残り”程度なので元気に朝めしなど喰らえばたいていは霧散する。

有り難いことにお盆二日目のアサは実家にいたから母君による朝食の準備、その対策はバッチリなのだな。平素の『冷やし茶漬け』とか“前日残り物&レンジ白飯”あるいは“オカズは市販の漬物オンリーだけどいちおー炊きたてゴハン”といったなかなかに貧しい系質素な食生活からは隔世の感のある朝食なのだ、いや〜嬉しいではないか。
といってもミエをはって皿数を増やしてあるとか“お客様がお泊りの時にお出しする朝食”のように気配りバリバリな食事ではなく、彼女にとってこの程度はごく当たり前の範疇なのよね。よく考えたらボクも実家にいたころの朝食はこんなんだっけ。漬物2種…いづれも自家製、生ヤサイは庭のトマト、焼きカマボコ、茹でシラス、これにゴハンと味噌汁。栄養バランスも上々だし何の不満もない朝食…これぞ日常テキに摂取が必要な朝のエネルギー源なのである。

ところが夕食となるとエロおやぢの介入があるのよね。「お盆だからねえ」などと大義名分を掲げては非日常テキな珍味などやたらに欲しがりそしてソレらをテーブルに並べるバカ者、そして酒もいつも以上にハイグレードなものをニヤニヤと撫で擦りながら冷蔵庫から取り出して見せたりするのである。もう救いようがない。
このアメ色をした珍味は『塩引き鮭の燻製』だ。日本酒はもとよりウィスキーやビールにも好適な逸品である。しかしエロおやぢがサイフにムリをさせて購入したものではなく、知人が越後特産『村上牛カレー』と一緒にプレゼントしてくれたものなのである。鮭と言えば一般的に北海道ってイメージなのだけれど、新潟県もムカシから鮭の漁獲とその加工が盛んな地域であって、この食品もそうした伝統が生み出した財産なのである。

“塩引き鮭”とは鮭をかなり濃度の高い塩で加工し長期保存出来るようにした昔の人々のチエであって、確かにかな〜りショッパいけれど発酵プロセスが加わって熟成した鮭の身肉の旨味はもの凄いものがある。当家の親戚がおられる知床ウトロから毎年そうした“塩引き鮭”が送られてきて、一度その味を知ってしまうと並みの塩鮭では満足できないカラダになってしまうのよね。
そんな鮭を燻製にした?そりゃ犯罪ってもんさ、脱法ハーブ(現在は危険ドラッグと呼ぶ)のようにクセになるなんてもんじゃなくて女房を質に入れてでも…今風な表現ならオンナをキャバクラで働かせて貢がせてもリピート買いしたくなる麻薬テキ作用のある食品なのだ。
想像通りかなり塩分は強い、しかし日本酒にはソコが堪らない。こいつを食す頃にはバーボンのソーダ割りを飲っていたので試しにチーズに乗せて食べてみたら「ありゃアナタっ!コレって天国のアンティパストよ〜ん♪」みたいに“激ウマっ”なのである。“まいう〜”よりステージは上ですねってなところ。

そして前夜に失敗した(と認めたくないけど事実がそーだから)自家製マヨネーズの液化バージョンがココで大いに活躍するのである。
エロおやぢは考えたのだ、知らないヤツには「このために作ったソースなんですね」と言ってもらえるように成功を前提とした改造作業が必要なのではないか、ブツは乳化した液体だからその特製を活かせるソースに…そうだ!アレだよ、アレ!てなカンジである。
コンカッセしたラッキョの甘酢漬とおろしワサビ&ニンニクを加え少々の醤油で味を整える。そしてそれを薄くスライスした蒸しダコの上にまわしかけ、仕上げにミックスペッパーを粗挽きミルして…お〜っし、サクセス方程式の完成だ。
今まで経験したことのないようなコンビネーション攻撃、そうアタックナンバーワンに登場する“ダブルアタック”にも等しい無敵の勝利パターンがこうもカンタンにジッコーできるなんてオレは天才だっ!と叫んでも許してもらえるかな…ダメですか、はい…もっと謙虚な生き方をしなさい!と天国の父は諭すだろうな。
いや〜それにしても美味い『タコのカルパッチョ』だった。イタリアンのお店ならこの皿に美しい香草や柑橘などを添えて華やかなプレートに仕上げるのだろうけれど、まあお家で作る料理ってこんなもんでしょ。イザというときにそうしたアートな料理を提供できる感覚さえ磨いておけばいいのさ。でもねぇそういえばそーゆーことってヴィノッキオの開店準備のシゴト以来あまりしてないのが寂しいよね。

アンティパストとしてのもうひと皿は『シュリンプのスチーム』まあニッポン風に云えば海老の塩茹ででしょうか。こいつは母君が食べそびれてチルドルームに眠っていた“アルゼンチン産生食用赤エビ”みたいなやつで、国産なら“ボタンエビ”や“甘エビ”が最も近い感じかな。ブラックタイガー系のエビと違い柔らかで淡白な身肉とその甘さが特徴なのでスチームしてもあまりプリプリ感はない。はなはなとした甘みとふわりとした食感がちょっと頼りない気がするけど、まあソレナリに美味しい。
そういえばアルゼンチンって先のワールドカップ・ブラジル大会では決勝まで進んだんだけど結局ドイツに惜敗しちゃったんだよね。まあメッシ頼みテキな攻撃布陣にはちょっとキツいトーナメントだったかな。あれれ、また脱線ねぇ…ヨッパじゃなくてもこんなオトコって深酒したときってどんな風になってるんでしょうね、ジブンじゃ当然わかんないしさ。



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お盆も過ぎれば秋の空からやってくるミヤマアカネ(♀)…
漢字で書くと“深山茜”
こっちのほうがいいよね