『パリジャンサンド』は朧三日月のヨルに

ソーラー発電システムの設置現場は哀愁のイナカ町からクルマで一時間以上かかる場所にあるのでけっこー早起きして出かけるのだ。そして経路の静清バイパスは事故があっても逃げ道がなく、ひたすら渋滞解消を待つしかテはないので余計に用心して早めに家を出発するのだよ。

たいていは始業の一時間前には到着しているのだけれど、ボクと似たような境遇のナカマもいるので何人かはやはり似たような時刻に集まってくる。ヒマつぶしに雑談することもあれば清水港湾のケーソンヤードや貯木場をひとりプラプラすることもあって天気の良い日はなかなかにキモチのいい朝を過ごすことができる。
先日そんな場所にランタナの花が群生しているのを見つけた。この花は野山に自生する類ではなく観賞用に栽培されるものなので、どこかでこぼれたタネが飛んできて、或いは野鳥が食した果実のタネが撒かれて繁殖してしまったものに違いない。世界の侵略的外来種ワースト100に入るくらいだから繁殖力は強いのだろう、もうほとんど帰化状態だろうね。

そんなランタナの花を摘んで家の食卓にでも飾ろうかと思っていたのに、シゴトの終い支度を始めるころにはすっかり忘れてしまっていたバカまるだし手ブラ中年おやぢなのである。そのことを思い出したのは帰宅途中に立ち寄ったパン屋さん、レジカウンターの上の小さな一輪挿しに野花が生けてあるのを見て(あ…ランタナ忘れたじゃん)なのだよ、いや〜いつものことながらお粗末この上ない。
バゲットを一本とドライフルーツ&ナッツのパンをひとつ購入してお店を出たが、ワインを買っておくのを忘れたことまで気がついてハンセー2段攻撃にちょっとヘコんだ。まあシカタないよね、しょっちゅうなんだから開き直るしかない。そうでないと(やってられねーんだよ)みたいにバクハツするか鬱病に陥ってクラい人生を歩むことになってしまうじゃないか。まあフツーに明るく生きましょう。
バゲットはサンドにして食すつもりだった。パリで食した『パリジャンサンド』(この言い方は正しいかどうかは知らないし、もしかしたら和製外国語かも)はレタスやオニオンと共にハムとチーズがたっぷり挟まれていてジツに旨かった上、お値段もボクが食した20cm長さくらいのもので¥300程度だったと記憶している。それに比して一緒に購入したコカコーラ350ml缶が¥400近くしたのはなかなか理解しずらいパリの物価事情なのであった。おっと脱線気味だなあ、元へ。
野菜類やハム&チーズの在庫がなかったわけではないけれど、ちょうど冷蔵庫に Made in USA のソーセージが数本あったのでそいつを挟んで食すことにした。う〜ん、これじゃあサンドでなくってドッグだよな…まあいっか。

よく冷えたビールをグビリと飲りながら“パリジャンドッグ”にかぶりつくとなんとも幸福な時間がやってきた。デカすぎて少し食べずらかったのは敢えて無視し、目の前の美味に集中することで失敗の意識から逃れようするエロおやぢなのよね。ズルいじゃないか。いいんだよ、人生ってのはそんなもんさ、ヒトのミステイクにはツッコミを入れるくせにねえ。
ああしかし美味かったなあ、ビールのあとのハイボールの酔いも手伝っていいキブンでベランダに出ると三日月がキレイに輝いていた。ランタナやワインのことはすっかり忘却の彼方、なんともノーテンキな中年野郎である。
たま〜にお月様のフォトもいいかな…なんてふと思いついてしまったので、このところご無沙汰しているNikonデジタル一眼レフを持ちだしてきて望遠レンズを取り付けてみた。ところがとっても重いのよ!なんてこったい、以前はヘーキで使ってたのになあ。このところ軽量なミラーレスばかり多用していて慣れきってしまっているせいか、やたらにそのボリュームとウェイトに負担を感じてしまうのだよ。
そんなことをボケッと考えていたら、さっきまで輝いていた三日月にカスミが重なって朧三日月になってしまっていた。悔しいからいちおー撮影したけど、高価な機材を使ったワリになんだかサエないフォトしか確認できなかった。まあこーゆー月夜も風情があって悪く無いじゃん、とまた言い逃れかい…


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