ひとりメシは『中落ちカルビ丼』

家人があまり好まない牛肉は休日のひとりメシに喰うのである。喰いたいもんくらいスキなときに喰えばいいじゃん…って思うけど、ヒトがスキじゃないって云うものをわざわざ並べるのもナニだしさ、これでもけっこー苦しみってものがあるのよ。

高3女子剣道部員は今年の春進学して、つまり女子大生となって家を離れたのでスキキライによる献立制限要因の1/2は消滅したわけだが、それでも育った食環境とは大いに違う生活に戸惑いや苦渋は絶えないのである。ボクは食べ物のスキキライを戒む教育を受けてきたのでそーゆーストレスにはめっぽう弱く、どこかでそのハケグチを探してはキズの修復を行うのだな。
先日もシゴト帰りにスーパーに立ち寄った際(あ〜明日の昼メシはボクひとりなんだっけ。へへっ♪こんなときくらい美味い牛肉料理で緊迫感から開放されようじゃないか)なんてことにふと気づいてしまい、普段はスルーしている精肉部牛肉コーナーへウキウキと足を運ぶのであった。
もちろんいろいろな部位があるけれど、食べたい料理に合ったニクを探す場合もあれば、逆に見つけたニクにインスパイアされて献立を決めることだってある。今回はその後者、なんてったって“和牛の中落ちカルビ”って「この紋処がメに入らぬか〜っ!」みたいなカンジで問答無用半強制テキお買い物と相成ったワケである。
さてどーやってソレを料理するか。フツーにヤキニクして酒の肴ってーのが一番いいにきまってるんだけど、休日の昼メシにはアルコールを同席させないことにしているのでそいつはダメなのよね。ん〜ならドンブリしかないじゃん、炊きたてゴハンにドカッと乗せて白髪葱&糸切唐辛子のトッピングでキマリだな。予想通りの旨さだけどやっぱりレベルが違うよね、ちょ〜美味い!
ところで近年はニクに“中落ち”とか“とろ”といった魚用語を用いるのは当たり前になったけど、元々四ツ足を食す習慣のなかったニッポン人にはニクの部位や品質を表すボキャブラリが非常に少なかったのよ。そこで理解してもらうためには魚用語の転用が手っ取り早かったのだろうか、アッという間にこの表現は定着した。ただし“中落ち”ってのは本来マグロなどを解体して三枚におろした際にできる身肉つきの中骨のことであって、それからスプーンや包丁などで梳き落としたものを“すきみ”と呼ぶ。本来の正しい知識で用語を理解しておくと料理とそのお味にも幅が出来ていいものだ。ニクの場合はアバラ骨の間にあるカルビがこれにあたり、地方やお店によっては“ゲタカルビ”などと呼んでいるが、そのカタチを見ればナルホド〜なのである。


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お気に入りのパン屋さんがあるビルの舗道
昼顔に領土侵犯されるベンチ