ヒトから見れば幻の『からみ大根蕎麦』

一時は「辛み大根」が幻になりつつあったことがある。食生活が豊かになって西欧の料理はもちろんアジアのエスニックなものさえポピュラーなものとなり、わが国の古来からある食材が忘れられがちだった時代だ。
ところが近年「京野菜」「加賀野菜」など地域ブランドが大いに復活し、地方独自の野菜にも世間の注目が集まっているのよね。静岡にも「折戸なす」や「箱根大根」そして「磐田海老芋」など数多くの独自野菜が存在していてけっこー楽しんではいるエロおやぢなのである。
件の「辛み大根」は「ネズミ大根」とも呼ばれ強い辛みが特徴なのではあるけれど、全国各地で栽培されていたそれは近年激減して確かに“幻”という側面もあるかもしれない。ところが哀愁のイナカ町・富士宮ではこれを栽培している農家がけっこーあって、農民市場などに出向けばよくメにすることができるからさして珍しくもない大根なのだな。


Olympus  PEN-F G.Zuiko Auto-S 1.4/40  @ SONY NEX-7

そいつをフィーチャーした蕎麦を名物にしている蕎麦屋さんがあった。ちょっと目立たない場所にはあるけれど、ウデの立つご主人がいて知る人ぞ知る蕎麦のお店なのだ。富士宮にはけっこー美味しいお蕎麦屋さんがあるけれど“だん”のカードを切ってくるヒトは少なくマニアックな部類だろうな。

ホントはザル蕎麦が食べたくて行ったのだけども、その日は日和もよくて小アセをかくほどの暖かさについ『からみ大根蕎麦』を注文してしまった。しかも大盛って笑えるじゃん。
けれどもこれがまた美味いったらありゃしないのよね、ピンク色の辛み大根…以前に農民市場で購入したものはライトグリーンだったけど…がビシッとアクセントになっていて、そこに山菜や刻み海苔が華を添えるスタイルだ。そして赤絵の大鉢がキブンを高揚させてくれるじゃないか。もちろんキホンの蕎麦が美味しいからこそそれらが生きてくるのであって、スタイルだけマネしてもこのエクセレントなお味は再現できない、と断言しよう。
ひとつ残念なことは店内が居酒屋然としていて、ヒトを招いて食事を供するにはちょっと辛いものがあることだ。それでもこのお店の蕎麦には独自のステータスがあって切り捨てるわけにはゆかないのよね。そう、一人でこっそりと出向いては(へへっ、こんな美味しい蕎麦はヒトに教えないもんね)とニマニマしながらお店をアトにする…というズルい人生なのだ。


手打ちそば処 だん
静岡県富士宮市宮原442-9
TEL=0544-23-3731
ACT=11:00-14:00 / 17:00-21:00 不定



クリック↓↓↓で応援をお願いします





富士山が見える現場です
だいたい来年二月いっぱいまでかな
先ずは師走を乗り越えろ…ってところですか



INFOBAR A03