春の鯛めし御膳

庭の隅にある山椒の新芽が吹き出すように育ち「早くタケノコと一緒に食べてね」と囁いているようだ…などとカッテな解釈でヨダレを垂らすエロおやぢなんだけど、やはりこいつはこの時期のミルい(柔らかくて香りが良いと云う富士岳南地区の方言)うちに新タケノコや冷奴と一緒に食すのがサイコーなのよ。


YASHICA  AUTO YASHINON 2/50  @ SONY α7

そんな山椒の新芽からインスパイアされる食材として春の鯛ってものもある。料理屋さんなどでは真鯛の煮付にこの時期はアラメやタケノコと共に木の芽(山椒の新芽)をあしらうのが定番なのであって、赤い料理にそのグリーンがとてもよく映え一段と素晴らしいものになるのだな。
以前にもこの駄文日記に記述したことはあったけれど、春が旬と言われる真鯛は実際にはちょっと違っていて厳冬期の方が美味いのはご存知の方も多いと思う。けれども桃や桜とかいった淡いピンク色のイメージが天然モノ真鯛の魚体色と重なって、なんだかヨサゲに思えてきたりもするのだよ。
おまけに「桜鯛」なんてコトバもあって、まあ桜の季節の鯛ってことを表現したいんでしょうけどね、事実として「桜鯛」という真鯛とは別種の鯛も存在していて、またそれを混同してしまっているヒトもいるので始末が悪い。

まあそんな風に文句ばかり言っていてもシカタがないのでとにかく美味いものを求めてお出かけするのだよ。そう、隣り町の和食レストランで「春の味覚まつり」なんてものをやっていることを聞くに及んではつい腰が浮いた。おぉ、そこは昨年の夏に「非日常のライフプラン『うな重』で猛暑殲滅」などと非常に美味な『うな重』を食したお店なのであって大いに期待が持てるのだな。
お願いしたのは『春の鯛めし御膳』、鯛の刺身・春の天ぷら・貝柱とワカメの酢味噌あえ・白飯・吸い物・香の物…といったラインナップで脳髄を直撃してきたセットメニューである。

天ぷらには新タケノコやタラノメそしてフキノトウなども含まれていて、サスガに春の天ぷらと謳うだけのものがある。ほろ苦さと新芽のエネルギッシュな生命感が同居する春の山菜は本当に美味しい。
お刺身も上等なものだし、うっかりフォトをおさえることを忘れてしまったけれど湯引きした貝柱にワカメと茹で菜花を添え酢味噌がけした小鉢が秀逸だ。
しかしこの御膳の白眉は『鯛めし』にあった。えっ?セットには白飯じゃないの?なんだけど、その白飯にちょっとしたイリュージョンを施して完成させるのが今回の流儀らしい。

それはお刺身と一緒にホタテ貝殻に乗せられている“真鯛のハラモ細切り”を白飯にドバッと乗せ、そこに“だし醤油 with 生タマゴ(全卵)”を溶きほぐしたものをザザッとかけて食すものなのよ。
配膳してくれた中居さんが「貝殻の上に乗っているものは残さず全てゴハンの上に移し、タマゴ醤油は全量イッキに…」と説明してくれた。え〜っ?ショッパくないのかい…と思ったけれど、まあそー言うならその通りに…と阪神…違うっ!キライな球団出してどーすんだい、元へ。半信半疑でクチに運ぶわけだ。



Olympus  PEN-F G.Zuiko Auto-S 1.4/40  @ SONY NEX-7

うっわ〜、むっちゃ美味いやんコレって!といきなり関西弁なんだけど、想定外の旨さにキブンは錯綜してしまうのだよ。『鯛めし』って言うとフツーは炊いたゴハンだけど、これは『鯛茶漬け』に近い感覚かな、いや〜恐れ入りました。スゴいレシピです。

以前に徳島に行ったときに「鳴門に行ったら『鯛茶漬け』」なんて具合に本流レシピでいただいたものだったけれど、今回はスタイルは似ているけれど全く違うドンブリ料理となって楽しませてくれるのだ。
ぷりぷりコリコリした真鯛の細切りにまったり纏わりつくタマゴだし醤油、そしてときどきほのかに漂ってくる海藻の香りと旨味、ピッと引き締めにかかる大葉の抑制…これらがゴハンと一体になってクチの中を静かに踊るのよ。
そうそう書き忘れていたけれど、配膳される前に別の中居さんが来て生ワサビを席ですりおろしていってくれたものがココで大いに活躍するのですな、本当にカンペキです。あ〜なんて美味しいの!お値段はソレナリだけど、大いに満足な“春の鯛めし御膳”なのであった。


和食処 まさご
http://masago.net/wasyoku/
静岡県富士市浅間本町7-10
TEL=0545-52-5591
ACT=11:00-14:00 / 16:30-21:00 年中無休




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またまたボケの花を撮影してしまった
先日より開いた花も多くなって可愛らしいよねえ



Olympus  FTL F.Zuiko Auto-S 1.8/50  @ SONY α7

オリンパスは名機OM-1を世に出す直前にM42規格の一眼レフ・FTLをごく短期間製造販売していた。そしてその標準レンズとして搭載されていたのがこのF.ZUIKO Auto-S 50mm F1.8 なのである。
OMシステムの同スペックのものと比べキレはよいけれど、なんとなくレンジが狭いというか特にハイレンジは若干飽和しやすいかな…と感ずる。ただモノコートでありながら逆光にも弱音を吐かないし、色再現性はとてもニュートラルなので控えめな露光にしてやると後々のレタッチがグンと楽になる。
小型で軽量というオリンパス伝統のモノ作りがしっかり生きていて佳作だなあとは思う上に、なにせ短命に終わった不遇のレンズって感じで大切に使ってあげたいんだけど「このレンズじゃなきゃダメ!」みたいな押しがない分その出番は少なくなりがちなのよね。
しかし最短撮影距離が40cmってのは当時の一眼レフ用標準レンズの中でピカイチなスペック、玉ボケも美しいからお散歩レンズにはいいんだろうなあ。
全く同じ条件ではないけれど同じ被写体を撮影した RE.TOPCOR 1.8/58 の画像と比較するとそれぞれに個性があって面白いと思う。う〜ん、現時点ではトプコールの画のほうがスキですけどね。