■ 喫茶「まん」で 『焼肉定食』
まさかの大当たり喫茶めし
あまりに雨が激しいのでシゴトは午前中でお終いになってしまったのよ、哀愁の肉体労働者ですね。
「働き方改革」なんて大義名分をふりかざして大手ゼネコンは週休二日だのと吠えてはいるけれど、末端の労働者は日給月給制なので単に収入が減るだけ、何の改革にもなっていない。これ、本気の怒りですから。
天候が不順で休工になれば一日分の減収、こんな風に急遽早あがりとなった場合でも労働賃金は半日分しか支払われない。オマケに安価な給食弁当はキャンセルされてしまっているので結局テメー負担で一般飲食をしなければならないなんて、うんと理不尽だと思いませんか?
こんなギョーカイだもんね、若くて優秀な人材なんてみんな離れていってしまうんだよ、この先どーすんだい!と憤怒の激情にハンドル操作を誤らないよう気をつけながらの帰路である。
さて昼めしどーすんだよ…ってね、こんなことでもないと立ち寄れないと思っていたお店があるのさ。その名も「喫茶まん」。何で「まん」なのかは知らないけれど、とにかく気になって気になってシカタのないオーラが吹き出ているお店だったのよ。
西尾張中央線と呼ばれる県道65号バイパスと、国道155号を結ぶ路線はいくつもあるけれど、その中の一本の路道路沿いにこのお店はあるのだ。主要幹線道ではないので集客という点に於いてはかな~り不利ではあるのは確かで、何度もその前を通りかかってはいるのだけれど来店客らしきクルマが停まっているのを見たことがない。でも時々照明もついているし例の黄色パトライトがチカチカしていることもあるから営業はしているんだろうなあ…と。
まあこのテの喫茶店に初めて入るのはフツーのヒトだと相当な覚悟と勇気が必要なのでしょうけれど、人生ある意味開き直っているエロおやぢはピ~ンとくればヘーキなのである。平和国家ニッポンなんだから、身ぐるみハガされ金銭を奪われ、最後はコンクリート詰めにされて名古屋港の埠頭からドボン…なんてこともないだろうし、みょ~なクスリを打たれて意識を失い気が付いたら北朝鮮…なんてことも有り得ない。まあその前にカネなんて持ってないし、アタマもよくないので北朝鮮でも使いもんにならないだろうから大丈夫。
昭和レトロなイニシエ系店内でソファに腰かけ昼めしをナニにするかメニューを眺めた。ホール担当のおーねさんは「今日の日替わり定食は『親子丼』ですよ」と親切に案内してくれたけど、午後のシゴトが流れてムシャクシャしていたエロおやぢは何だかガッツリどっか~んとしたものを喰いたくて仕方がなかったのね、だから『焼肉定食』ってやつを注文したのですよ。これもピンとくるものがあったからなのですけどね。
たっぷりのニク野菜たちが焼かれた鉄板の上でジュウジュウしてます。味付けは甘辛い醤油系。たまんね~ぜ!ゴハンに合い過ぎるじゃないか。丼めしをオカワリ出来るほど胃袋のキャパシティは大きくないので、こーゆーススム君系オカズはヤバヤバなんですよ。ど~するんだい、美味過ぎちゃってさ!
ニク、ヤサイ、ニク、ヤサイ…と交互に取りあげゴハンにオンしては喰らう。美味い。
目玉焼きはしばらく放置して黄身はやや固めの半熟、白身は下面が少しバリ気味になる頃合い…まで待つのですよ。決して途中で黄身をつついて破り、ドロリと流れる黄身成分をニクやヤサイに絡めて食すなんて外道をやってはいけません、これは最後に鉄板に残った肉汁・ヤサイのだし・焦げたタレの三者ミックスをソースがわりにしてゴハンに乗せ、はふはふねろねろと食すのが正しい処し方なのであります。この作法はストイックに守らなければなりません。うっわ~フォト撮っておくのを忘れたよ!まあ死ぬほど美味かったんだから忘れても仕方がないか。
そんなメイン鉄板は究極のスゴさがあったけど、それに加えて副菜類もかな~りイケてましてね、こっくり濃い味に仕上げられた大根と魚の煮物、お漬物の代わりなのでしょうかね、キュウリの酢の物にはグレープフルーツなんぞも添えられていたりして、秀逸なセンスとボリュームに心が震える。パーフェクトな美味さです。
いや~参りました、そりゃカンに任せたお店チョイスでありましたし、ちょっと期待していたのも事実ではありますが、ここまでとは思いませんでした。まさかの大当たり喫茶めしであります。
そうそう、おツユはこの辺りで一般テキな赤だしではなく澄まし汁だったことも高得点要素ですね、全体にテマヒマかけてあるのがよ~く判ります。そういえばホールのおねーさんが「このお店はどのお料理も美味しいって評判なのよ」とおっしゃってましたが、そうでしょそうでしょ「一を以って万を知る」でありまして、ひとつの料理の完成度が高いお店はたいてい他のメニューもそうであるケースが多いのですよ。
室町時代の御伽草子にもそんなコトが記述されていますよね、ただし読み方は「いちをもってばんをしる」ですけど。この日の場合は「一を食して”まん”を知る」ですな、もーもーぜ~ったいにホカのメニューも美味しいに決まってる!てなもんです。
お会計のときに厨房のおねーさま(この方がオーナーシェフのようです)に店名の由来を尋ねてみました。すると「お店を開くときに、木曽川に近い場所に在るお寺の奥様がつけて下さったもの」というお答えでした。ふ~ん、それだけじゃ解んないんですけど…ま、いっか。
あ~本当に美味しかったなあ、満足満足。ここに来るまではイヤなことばかりだったけど、ちょ~当たりの喫茶めしでハッピー!なキブン。雨脚はさらに速くなっていた昼下がりの金曜日、翌日は休みってのも手伝ってルンルンで宿舎に戻るエロおやぢなのでありました。
◆ 喫茶 まん
愛知県稲沢市西溝口町池ノ頭 91-1
TEL=0587-36-5478
ACT=7:30-16:00 日曜定休