黒潮の贈り物『クジラ肉のステーキ』

ここでどうしても書かなければならないことは捕鯨問題とその国際的な関心です。食ということに関しては昔と違って今のニッポンはとても豊かになっているのでクジラをわざわざ捕獲して食用にしなくてもいいわけですが、一方ではその独特な味わいに捨て難いものを感じているヒトも確かにいらっしゃるわけでありまして、その是非を論ずるのはなかなかに難しいわけです。

高知県産 鯨赤身肉

その論議や個人的な見解を述べるのは控えますけれど、ボクはやはりコドモのころから食していたクジラ肉にはある程度親しみを持っているのも事実なのでありまして、赤く染められた " クジラベーコン " や " 尾の身 "と呼ばれる部位の刺身、そして " 鯨肉大和煮の缶詰 " などを見つければ「あ~喰いてー」と思ってしまうのです。
ただ一般の商業捕鯨から税金を投入した調査捕鯨というカタチに変更されてから、庶民のお味だったクジラ肉は今やすっかり高級食材に変わってしまったのでありまして、滅多にそれを食すことはなくなってしまいました。ボンビだった若いころにはよく飲み屋でクジラベーコンを肴にビールなんぞを飲ったものでして、なんだかあの時代が懐かしいなあ…なんて思ったりもします。

そんなクジラ肉の赤身を先日スーパーで見つけまして、しかも意外に高価ではないものであったので意を決してカゴに入れてしまいました。もちろんステーキにして食すつもりなのでありまして、何十年ぶりかに食すクジラ肉にわくわく期待マックスなのであります。

クジラ肉のステーキ   Nikon NIKKOR-S・C Auto 1.4/50  SONY α7

タマネギを敷いたスキレットゴマ油で和えた根深葱の笹切り、そしてクジラ肉ステーキは生姜をダイスカットにして加えた甘辛醤油タレで仕上げてみました。コドモのころに母上はよく生姜醤油に漬け込んだクジラ肉を焼いてくれたものでして、それに対するオマージュでもあります。

しっかりとした噛み応え…つまり「かな~り硬いよねえ」なのですが、海に生きる哺乳類の持つ個性的な旨味が印象的なのであります。食感は別にしてこれはこれで美味しいものです。
遠い祖先は海洋民族だったニッポンではこうした " 黒潮の贈り物 " を大切に扱っていたわけでありまして、脂肪分の確保を目的に乱獲していた欧米諸国とはその歴史の違いがあるわけです。そんなこんなを考えながらフクザツな気持ちでいただいた『クジラ肉のステーキ』です。




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