祓いの膳  

故人を偲んで親族・知人が会食をするという習慣が葬儀の後に待っている。
献杯」を行い卓に並びきらないほどの料理と飲み物…本来はソコで頂いて帰るべきものなのだろうが、近年は持ち帰り用の袋まで予め用意されており、飲食もソコソコに会場をアトにすることとなる。

 毎度のコトではあるものの帰宅して開いてみれば、なんとも普段は口に出来ないような折り詰め料理にタメイキが出てくる。一つ一つを立派な器に盛って提供すれば高価なコース料理でもあるし、箸をつけるを躊躇するような見てくれだけの派手さもなくよく考えられた料理だろう。
葬儀社のパンフレットには数種類のランクでサンプルが記載されているが、多分どれを選択してもそう卑屈な思いをするコトはないだろうくらいのモノが並び、父の葬儀を行った時代とはずいぶん変わったものだと関心する。
 都市で発達してきた葬儀社による“セット葬祭”ではあるが、近隣の住人とのつながりが希薄になりつつあるこの田舎でもこうした形態が主流になった。雑多な準備手配から開放されご遺族の心労が少なくなったというだけではなく、お手伝いをする町内会の方々にとってもコンパクトな補助で済むという利点を生んでいる。
十数年前ならばご近所で葬儀などというと会社は最低3日は休む必要があったが、今ではその半分以下の負担だけなのである。
「ベンリな世の中になったもんだねぇ」
祓いの膳をつつきながらそんなハナシを家族とした昨晩だ。



昨日の富士山はお昼の休憩時間に近くの田んぼより
一日中雲もなく快晴でした


CONTAX i4R Tessar T*6.5mm F2.8
2008.02.18. 12:38 @Gendouji-Fujinomiya