桜海老はまだか『地魚の丼』

この時期ならではの鮮魚が魚屋の店先で輝いている。そして先日解禁になった桜海老の春漁だが、シモジモの食卓に上るのはまだ少しだけ先のようだ。

由比漁港でのセリの様子をニュース映像で見た翌日、その桜海老の生を購入してくるよう家人に頼んだのだがドコにも売っていなかったらしい。ソレから数日間注意はしていたのだが、どうも売り場に並ぶ気配がない。もしかしたら高級料亭や飲食店への出荷が優先され、一般市場用のモノは追々になっているのかも知れない。思い切って店員に聞いてみればよさそうなものを「まぁアセるものでもないし…」と(そのうち出てくるさ)くらいの勢いで別のネタに眼を移す。
少し前とはすっかりラインナップも変わり、コレならあーしてソレならコーして…と「う〜んドレでもいいから早くヨコセ!」なのだ。昨日は南伊豆の金目鯛、土肥のキビナゴ、石花海のスルメイカ…甘海老は静岡県内ではもちろん獲れないので旅のモノなのだろうが大粒でリッパだったので賑やかしにちょうどいいやと少し購入した。
脂ののったキンメは申し分のない美味しさで昨晩のハイライトだったが、ワキを固める役者あっての華でもあり昨日は特にキビナゴが輝いていた。キビナゴは体形はイワシによく似ているが魚としての分類はニシンの親戚系で暖かな海を好み広いエリアに分布生息している。
九州のキビナゴ料理は有名だが、静岡の伊豆半島西海岸でも古来からの料理として“キビナゴ寿司”が伝え継がれているというコトを知ったのはつい最近で、ちょっとオハズカシイ次第なのである。
まだ食べに行ったコトはないがテレビの映像を見る限りでは握りネタとして使われており、細くて小さいためか一貫に3〜5尾のキビナゴが載せられていた。アサツキや生姜をトッピングするのはイワシと同様で、その薬味によってキビナゴの旨みが何倍にも膨らんでゆくシクミにまんまとハマるワケなのだ。なんとなくカッテにというか“押し寿司”を想像していたので「なんだ握りかよ〜」と思ったのだが、ツルリとしたキビナゴの食感は握りに軍配が上るのは間違いないだろう。
小骨が多いのはイワシと同じでもキビナゴの美味しさはそうした食感も大切な要素の一つで、また銀色に輝く身と黒い側線が涼しげな様子も演出してくれる粋な小魚である。
銀と黒…イタリアンなダンディズムにも通じるようなルックスを活かしたアンティパストなど出来ないものか…と、ふと思いつきの料理もしたくなるようなイケメン君でもある。









今朝の富士山
夜が明けるのが早くなりました

2009.04.03. 06:30 @Mannohara,Fujinomiya-City
 (自作ワイドコンヴァージョンレンズ使用)