静岡県富士宮「 鯛吉家 」

なんといっても大判焼今川焼)の圧倒テキ支配下にあるこの町は“たい焼屋の不毛地帯”なのである。大手のショッピングセンターにあるチェーン店を除き新規開店しても半年で廃業…という惨状をいくつもメにしている。

いきおい部活は周辺市町へというコトになりナカナカに苦労を強いられていたワケであるが、先日所用で出かけた折にとうとう希望の星を見つけた。JR富士宮駅前から真っ直ぐ北に上る道は信号も多く渋滞するので普段はあまり使わない…と云うのがこのお店が今年の二月に開店していたのに発見が遅れた理由だろう。しかしたい焼部員としてはウカツであった。
早速に突撃して活動開始だ。お店の前には駐車スペースはなさそうなのでちょうど路を挟んで前にあるスーパーの駐車場にメガーヌをカッテに突っ込んだが、偶然にもソコがお店の公式駐車場なのであって、コソコソせずに堂々と停めてヨカッタのである。

お店に入ると高校生と思しきピチピチのおねーちゃんが二人、たい焼を食べながら焼そばの出来上がるのを待っていた。店内にはソースのコゲるいい香りが充満していてヨクボーを強く刺激する。ダメだよ、今日は部活で来たんだから〜!とジブンに言い聞かせつつ幾つかの注文をして待っていると「試食をどうぞ♪」と差し出された白タイヤキはド〜ンと二分の一カット! ジツに太っパラではないか。
そしてソレは店外ポップで見かけ(ケっ、こんなもん、オンナコドモの喰うもんだぜ!)と思っていた『夕張メロンたい焼』だったのだな。う〜むヤバいと思うのよね。

ところがコレを食してみるとキャ〜♪な美味さなのである。夕張メロンの鮮烈な香りが弾けるように発散しているのだ。香料臭さなどは微塵もなく強い押し出しながらも上品さがある。店主殿の説明ではホンモノの夕張メロンの果肉をたっぷり使用しているとの事でナルホドな美味さだ。
巷では不味い白タイヤキばかりなので“本当の美味しさを知ってもらいたい”という願いで生地のコストはケチっていないのだと言う。ナルホドな美味さにはワケがあるのだな。
そんなハナシをしているともうひとつ試食が提供された。いや〜カタジケナイ。
「コレはヨソじゃ出来ない逸品だよ〜」というたい焼は『磯辺たい焼』なのであった。本当は賄い用に作ってあったモノらしいので水平1/2カットされてはいるが逆に食べやすくて宜しい。
使用食材は白タイヤキと醤油と焼海苔のみ、スパーンと潔いシンプルさが素材の美味しさをどんどんクローズアップしてゆく。困りますねぇご主人、こーゆー反則ワザは… 美味い!
と言いつつボクが先ず注文したのはキホンである小豆粒餡とカスタードクリームの二種だ。コレが美味しくなければたい焼は始まらないのである。

カスタードクリームは洋菓子に使われるような高級タイプ。おぉ〜いいカンジではないか… 昔からあるコナたっぷりトロミ&香料でB級武装したカスタードもイナタい味でいいものだが、コレはまたステージの違う世界でお若い方々には歓迎されるだろう。
小豆粒餡は北海道産小豆使用も珍しいスペックではなくなったが、甘みの加減がゼツミョーで豆本来の持つパワーが生きている。甘すぎず、さりとて茹で小豆かと思うような味気なさもなく久々に美味しい小豆あんを頂いた気がする。
そしてちょっとだけ冒険の『ジャーマンポテト』、コレが超絶ウマかった。スパイシーなポテトサラダがたっぷり入っていて、ひとくち食して(コレはビールの肴じゃん♪)と食べるのをやめて晩酌時までとっておいたくらいだ。
衝撃はまだまだある。お店のカベに“ 夏限定プルルンたいやき ”とあったのでソレはいったいナニかと訊けば「白タイヤキにコラーゲンをたっぷりコーティングしてある“冷したい焼”なのです」と言う。いや〜ん♪ソレもおひとつ下さいな…なのであった。

ナカミはいろいろあったがやはり『レアチーズ』が代表主席だろう、急ぎ持ち帰り冷蔵庫でヒンヤリさせておく。カットしてみるとチーズと一緒に赤いソースが入っているではないか。ふむふむと食してみればブルーベリーのソースで、コレがまたサイコーに相性がよろしい。

チーズ部分はチーズクリームといった類ではなく、もうほとんどモロにフィラデルフィアクリームチーズといったカンジで純度が高い。コレもひとくち食しては(赤ワインのつまみじゃん♪)とまたまた冷蔵庫へ戻してしまうのであった。
もちろんキホンのたい焼が美味しいコトは言うまでもない。だからこそこうして応用編も非常に高い点数が得られるものなのだろう。
鯛吉家さんでは「めし鯛焼き」と称してサルサソースのイタリアンを始め、中華・キーマカレー・マヨコーン・ジャーマンポテト・ハムチーズ・ツナちくわ…といったアグレッシブな取り組みを続けているようだ。

やられたぜ…というカンジ、いつかはボクがやってみたいと思っていたワールドグルメ鯛焼を全て網羅され先を越されたのである。口惜しいというよりアッパレなのだな〜。
   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
しかし素晴らしいお店が出来たものだ、これからの展開が楽しみなのである。大判焼寡占状態のこの町にどうか新しい風を吹き込んでもらいたいと願うし、白タイヤキの持つポテンシャルはまだまだ発展途上なので探求を続けてもらいたい。
一度に購入して食せる個数は限られているのでポチポチにはなってしまうものの、この美味しさならば早急に全種セーハしてお気に入りを確定したいものだと思う。
ソレにしても“森のおばあちゃん”なる人物からノウハウを受け継いだという『富士宮焼そば』も試してみたいものだ。ボクの作る富士宮焼そばとガチンコ勝負!って相手はプロだからねぇ…




鯛吉家 (TAIKICHIYA)
静岡県富士宮市元城町5-12
TEL=0544-22-1552
ACT=10:00 - 20:00
駐車場は道向のスーパー「デイズ 東店」をご利用下さい

地図




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Sora



11:33AM, July 18. 2010.