ルノワールのフレンチ… la table de shima

前回の静岡飲みではフラれてしまい仕方なくテキトーに入った居酒屋の大ヒット連発で救われたエロおやぢ御一行様約二名、しかしやはりどーしてもそのフレンチの魅力が危険ドラッグのように常習性を伴っては心身を蝕んでいるのは承知していたのである。

いろいろと事情があってお店に到着したのはヨルの八時近くになってからだった。空きっパラを抱えてお店の入口に立てば先客は若い女性が二人…今日は大丈夫みたいね。しかし前回のトラウマからつい「今日は大丈夫ですか?」といきなりナニな挨拶はシェフにシツレイだったかな、まあとにかく今夜はオッケーってことへでホッとムネを撫で下ろすエロおやぢなのである。あ〜疲れたしノドも渇いた、カンパイは当然ビールだよね〜と注文すると、そこには“ふじのくに限定『静岡麦酒』”のグラスに注がれた黄金色の液体が差し出された。

おぉっ!これこそ静岡でしか飲めない地域限定サッポロビール、しかもその提供店は本当に数えるほどしか存在しないレアなひと品なのだな。クィ〜ッと流し込み取り急ぎノドの修復、そして改めてジックリとクチに含みその味わいを堪能するのである。美味いっ!品の良い香りとサワヤカな苦味は静岡の特産食材に焦点を定めてチューニングされたまさに限定品。

幸先のよいスタートだ、コレなら今日の注文の中心はやはり駿河湾の幸だよね。前菜こそ塚本シェフにお任せの盛り合わせにしていただいたけれど、そうしたインプレッションは以心伝心と云うべきかやはりこの地の旬が見事に描かれていた前菜なのである。
だいたいのところはフォトをご覧になれば想像がつくと思うけれど、ちょっとココロ打たれたものは“蕪のマリネード”と一緒に添えられていたものが“桃のグラニテ”だったこと、そして初めて食した“スダレガイ”は軽くグリルして貝の繊細な旨味を失わない味付けにしてあったこと、新鮮な白身魚カルパッチョ風にはディルの風味で清涼感を演出してあったことなどなど、とてもこんな拙い文章では書ききれない。
しかし“スダレガイ”って相当な珍味らしいね、帰宅してから調べると一般市場に出回ることはほとんどなく、大半は地元漁師が食べてしまうかモノゴトの解っている料理屋が争うように仕入れてゆくので世に知られる機会の少ない二枚貝なのよ。いや〜そんなキチョーなものを…と感謝の念をあらためて抱くエロおやぢなのだ。

美味しかったカルパッチョ風の白身魚は単品で注文すると先ほどのディル風味とはまた少し違う香草で調理してくれた。セルクルで整形してダイスカットのフルーツトマト&久能ネギで仕上げた手腕はまさに絵画芸術のようである。そして魚介のサラダ仕立ては季節のボイル野菜とハーブがあしらわれフュメ・ド・ポワソンをゼリーにした調味料で構成された素晴らしいひと皿。鉄人・坂井宏行氏がフレンチ界のドラクロワなら「la table de shima」の塚本シェフはルノワールの名を冠するにふさわしい色彩感覚と構成力の持ち主だと言っていいだろうなあ。

あまりにアートなお料理にチョイスするワインにかなり神経を払った…というのはウソで、ジツは白の辛口スパークリングにするか、それともよりドライな白ワインにするか迷っただけ。結局はル・オー・パイスのソーヴィニヨン2012というドライかつ軽めでタンニン少なめ、そしてスパイシーさよりも果実味が勝るシャープな酸味の白ワインに落ち着いた。あぁ、いい選択だったなあ…偶然だけどね。
いろいろ食したけれど、どれも美味しくて“本日のメニュー”みたいなものが列挙されている黒板を眺めては「オールでお願いします!」と注文してみたいヨクボーを抑制するのに必死な我々なのよ、いや〜困ったものです。

この辺りでアトから入店してきた我々より少し若い世代のカップルとの会話に花が咲きまくってしまった。彼らも「偶然入ったこのお店がチョ〜お気に入りになって…」と他府県からわざわざココに来るのだそうである、しかもこれが三度目…ってう〜む先を越されてるなあ。しかしワカるヒトにはワカるこのクオリティーの高さとアート性、なんだか独り善がりでなっかったことが証明されたようで嬉しいではないか。
お〜っし、まだまだ喰えるぞ。次は『岩牡蠣のグリル』だ。サラダほうれん草のソテーや旬のヤサイをを添えた上にシェフお得意のバターソースらしき濃厚ソースがズバリ太く決まっている。まったりコクのある岩牡蠣に正面から対峙するソースをぶつける勇気ってスゴいじゃないか。ハンパな料理人なら牡蠣の旨味と香りに依存しアッサリ系のソースで逃げるのが常套手段なんだけどな。

同行者は「フニッシュはコレよ♪」と最初っから決めていたらしい。フレンチというよりもイタリアンやスパニッシュでお馴染みのシラス料理、しかもそいつをパスタ仕立てで提供してくれるというから、ホロ酔いヨッパには申し分のないシメになるに違いない。
鎌倉あたりのイタリアンや伊豆半島オーベルジュヒソカな人気を保っているシラスのパスタ。どちらもシラスの産地ならではのお料理だし、なんといっても鮮度がイノチの食材だから漁港に面した、或いは迅速に入手出来る環境が整ったリストランテでなければジッコー不可能なメニューでもあるのだ。
いやジツはボクはそいつをお店で食したことがない…と告白しよう。テレビ放送で東伊豆のイタリアンがコレを自慢気にやっている番組を視て「う〜む!そのテがあったか〜」と早速コピーして自宅イタリアンはやったことがあるけどね。こいつはペペロンチーノのキホンとガーリックオイルで加熱するシラスの加減さえ間違わなければソコソコのお味にカッテに仕上がってくれるラクチン料理なのよ。確かにテメーで作ったそれはとびきり美味しかったけれど、なにせプロフェッショナルが目の前で提供してくれる作りたては経験がないのでちょっと自信がなかっただけ…な〜んて強気な発言だけど、まあ大方違ってないでしょ。ただし塚本シェフのソレはお味だけでなく見た目もフレンチ・アート、ベクトルは一緒でもステージの違うキュイジーヌに満足な夜は更けてゆくのであった。
本当にごちそうさまでした。スグにでもまた行きたいけど、次におじゃま出来るのは寒くなってからかな…


初めてお邪魔したときの記事
『偶然出会ったomotenashiフレンチ! それは la table de shima
http://d.hatena.ne.jp/artfoods/20140202#1391325031

la table de shima
静岡市駿河区南町7-9 サウスパラシオン1F
TEL=054-282-5159
ACT=17:00-24:00 ※予約してからの訪問をおすすめします





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