35年前と同じお店で同じ食事…スパーゴの『煮込みハンバーグ』

毎日のようにお茶(静岡ではそう呼んでいるが一般的には煎茶あるいは緑茶)を淹れる土瓶にヒビ割れが生じてしまっているため母上は買い替えを希望していたのよね。なんなら静岡のデパートにでも行って探してみようじゃない…というハナシになった。

「何年か前にこの売場で見た」という母上の記憶が間違っていたかどうかは知る由もないが、結果テキに京都・たち吉さんのその製品は既に廃番となっていたようで、使い勝手のよろしかったその製品をデパートで再び購入することはできなかったのである。
まあ急いだもんじゃないし似たような製品をドコカで見つけりゃいいじゃん…みたいにテキトーなバカ息子はさっさと切り上げて、静岡の七間町にある老舗飲食店に向かうのだな。
大学生だったころ地元の同級生が教えてくれたそのお店は「スパーゴ」さんというハンバーグ専門の小さなビストロだった。当時交際していた女の子と食事に行ったこともあったし、その後経済的に困窮したバカ息子を心配して母上が静岡まで出てきてくれて「何かスキなものを食べなさい」と言ってくれたのを幸いにこのお店でゴチになった記憶もある。



Olympus  F.Zuiko Auto-S 1.8/38  @SONY NEX-7  (All Photographs)

母上はその時の記憶は曖昧らしく、しかしながらハンバーグが美味しかった…ということだけは思い出してくれたのでヨシ!ということになった。なんだかちょっと後ろめたい部分もあるけれど、まあ美味けりゃいっか…みたいに極楽トンボなのよね。

専門店とは言ってもジツはけっこー他のメニューも提供しているお店が多い中、このスパーゴさんは本当にハンバーグしかやっていないのである。これってスゴいことだと思うのよ、今どき。
そして注文するのは看板メニュー(本当に看板になっている)の『煮込みハンバーグ』だ。母上と35年前と同じお店で同じ食事…ってなんだか涙しても許されるようなフンイキだけど、ノーテンキなエロおやぢはツラっとしてカメラなんぞ構えたりもするのだな、いや〜ホントにふてぶてしい。しかし美味い、極めて美味い!この濃厚で奥行きの深い味わいのデミグラスソースに歴史のつめ込まれたハンバーグ・パティの風味、なんて素晴らしいんだろう。もうホカで煮込みハンバーグなんて絶対に喰わねーぞ!と渾身の決意を以って宣言してもいい。

母上も改めて思い出されたようでカンゲキしている。齢八十を過ぎた老婦人がペロリと完食するコテコテ洋食ハンバーグ…って想像出来ますか?アナタ!てなもんだい。どれほどカンペキに美味い料理なのか彼女に証言してもらおうではないか。
そしてデザートにお願いした『クレーム・ド・ブリュレ』。これがまた泣かせてくれるスイーツなのよ。35年前は確か食後のコーヒーだけで帰った記憶があるけれど、やっぱり時代は変わったんだよね。美味しい料理だけでなく、そのアトにもこうしてステキなデザートがいただけるなんてさ。うん、これならクリスマスのディナーに大切なヒトをご案内しても恥ずかしくないクオリティーだし、小ぢんまりしたビストロで心のこもったサイレント&ホリーナイトを過ごすのも温かみがあっていいではないか。
いくつもの老舗が消えゆく静岡の繁華街、がんばってもらいたいな…スパーゴさん!


スパーゴ
http://www.s-spago.com/




クリック↓↓↓で応援をお願いします