四十八茶百鼠な『もつ鍋』

四十八茶百鼠は“しじゅうはっちゃひゃくねず”というコトバで最後に「み」はつきませんね。江戸時代の繚乱期に施行された奢侈禁止令は、庶民のゼイタクを禁止し質素な生活を奨励するものであったのだけれども、どーしても粋なオシャレをしたい民衆はデザイナーにそのセンスを託してこんな染色の種類を開花させるわけなのだ。

つまりブラウンもグレイも濃淡や色味をビミョーに変えて48種類の茶色と百種類の鼠色が開発されたってわけ。実際はそれ以上の数字らしいけれど、ものの例えとしてこんなコトバに代表されるようになったわけである。
茶色も鼠色もアダルトな色だけれども、その組み合わせ方や柄との兼ね合いで実にステキでアヴァンギャルドな布地が出来上がる。アートであるのに実用性も兼ね備えていて本当に素晴らしいシーンが江戸時代に生まれていたなんて信じられないよね。
いまどきの若者は単一な黒基調ばかりで装うのが主流になっているけれど、そんな横並び思考の中で「ヒトとは違うんだ」という個性を発揮しようなんてどだいムリな話だと思いますよ。江戸時代の人々の方がよっぽどエキセントリックで面白かったんじゃないかな…この『もつ鍋』を準備していてそんなことを考えたのよ。
食材は豚もつ・モヤシ・ニラ・豆腐とシンプルこの上ない。そして鍋ツユは鶏団子鍋をしてお気に入りの仲間入りをした「まつや・とり野菜みそ」を使用してけっこーカンタンに出来てしまうのだけれど、そのお味はジツに奥深く裾野も広い。


MINOLTA  M-ROKKOR 2/40  @ SONY α7

噛みしめるほどにその旨味と甘みが滲み出てくるモツ、モヤシとニラが織りなすニュートラルで当を得たサポート、だしツユの旨味と香りを吸い込んでトリマキを静かにいなす豆腐…巷で人気のある寄せ鍋のようにハデなものはひとつもないけれど、まるで四十八茶百鼠のように鯔背な風情がここにある。

そしてそんな鍋料理にこれ以上もこれ以下もない日本酒を同席させてみた。
こちらは時代劇のように悪大名様が越後屋からワイロを渡されてニヤリとする場面でよく着ている金色の錦羽織風なラベルデザインがなされているのだけれど、お味と風味は飾り気もなく素朴なのになんとも雅なものを含む佳作なのよね。純米酒だからスッキリしていながらまるで吟醸酒のような空気感を漂わせているし、麹の薫りもハジけるようなものはなくそっとクワイエットに、しかしチカラ強く口中に拡散してゆく様は隠れ名酒と言ってもいいだろう。
こんな素晴らしい日本酒の醸造元が哀愁のイナカ町にあるなんてさ、ちょっと自慢してもいいかもね。しかも一つや二つだけではなく酒ツウが唸る銘醸が4軒もあるんだから。
水と空気がいいからコメも優秀、そして当然の如く酒も…とその文化継承があるわけなのであって、ハデな宣伝やプレゼンはないけれど、これも四十八茶百鼠なローカル日本酒事情だろうな。新年の祝い酒はこいつでキマリ!とひとつ荷が降りた。




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7:18AM. November 26. 2017. @Fujinomiya-City

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