■ ちょっとしたカン違いから
母上が買い物をしてきてボクにそのビーフのパックを差し出しました。明日の夕食はコレをステーキで食しましょう、とね。 ふう~ん、タスマニア・ビーフかい…美味そうだけど、なんだかスジっぽいよねえ…とよく見ると " すね肉 カレー・シチュー用 " となっているではありませんか! おいおいっ、こいつをステーキで食すことが出来るヒトはなかなかいないと思いますけどねぇ母上さま。まあシカタありませんな、齢八十も後半になっている年寄りではこーゆーカン違いもあるでしょう。それにこの程度のカン違いなら他人をそう不幸に陥れる心配はありませんから。
困るのは隣りの国家、特に半島南の大統領さんですよ。南北平和共存なんて独善的かつ一方的な理想を掲げて邁進なされておられるようですが、北のチンピラと一緒にってのはムリがあると思いますし、平和国家ニッポンとしては甚だ迷惑なハナシなのでありまして、国際秩序に挑戦するような言動を以って我が国に…って脱線ですよ、脱線。元へ。
まあ今更商品の返品または交換ってのもメンドな話なのでありますから、ここはせっかく購入してきてくれたビーフをなんとか美味しくいただく手立てを考えるわけですな。う~む…。
■ それなら煮込み料理にしちゃいましょうか
で、カレー・シチュー用なんですよね、もうその通りにしちゃえばいいわけです。話をそう難しくコネることはないわけでありまして、素直に変更すればいいだけなのですよ。そうと決まれば早速ゴーです。
セオリー通りにタマネギや人参そしてガーリックと香辛料・香草を加えて下煮をするわけです。フライパンで表面に焼をつける以外は調味料などを加えず、水だけでひたすらコトコト数時間、ニクやヤサイが型崩れしないように弱火で優しく茹でてやります。水位が半分くらいになったら火を止めて、あとはひと晩寝かせ残りの工程は翌日にします。
翌日再び火入れします。ここでも弱火をキープしたまま数時間コトコト…いい香りがキッチンに漂ってきます。
そして頃合いを見計らってビン詰めビーツを刻んだものやホールトマトをつぶしたものを加え、最後に塩や赤ワインなどで調味して完成。素晴らしい色と香りの煮込み料理が出来上がりました。ここまでくればもう食さなくともその美味しさが判るってもんです。
さあさあ、今年の新ワインをグラスに注ぎ乾杯したら熱いうちにいただきましょうか。
あぁ、あぁ、ただただ美味い。スジっぽかったタスマニアビーフのすね肉もトロットロになっていて、弾力のカケラもない。舌の上ではまるでホロホロとコンビーフのように溶け崩れ、その柔らかな旨味をじんわり拡散させるのであります。問答無用、サイコーです。そしてヤサイもニクもその持っている栄養を全て出し切ってスープに託しているので、どの部分からスプーンを入れても美味しさが変わらないのが驚きなのです。
テーブルには最初フォーク&ナイフにスプーンをセットしておきましたけれど、結局はスプーンしか必要がありませんでした。いいねえ、このレシピ。そんなにテマヒマかかるわけでもないし、この冬はこいつをあと何回かジッコーすることになりそうです。