■ 今回は千葉県産
貝類にメがありません…と云うのも港町で育ったせいでしょうか、コドモのころから駄菓子屋で売っているおやつに " 塩茹でツボッコ " なんてものがあり、しょっちゅう食していたせいかも知れません。
朝霧高原を擁する哀愁のイナカ町であってもスーパーに行けばそんな貝類がよく販売されているわけでして、一時は高価な貴重品になりかけた " 海つぼ " も近ごろは比較的テの届きやすいものになっております。産地は全国各地に及びますが、特によく並んでいるのは北海道産や三重県産でしょうか…たまに石川県とか秋田県のものも入荷しております。
今回は千葉県産と表示されておりました。同じ海つぼでも北海道のものはゴツゴツとした表面で灯台ツブなどと呼ばれるものですね。三重県産は静岡県産と同様に茶色に白い斑点、日本海側で漁獲されるものはつるっと滑らかで白い貝殻のものが多いようです。
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この千葉県産のものは如何にもつぶ貝らしい表面、薄茶色の紋様と巻きスジがナゼナゼしたくなる面白さです。もっとも千葉県産と云っても外房と内房では海中の条件が全く異なるわけでして、いったいドチラで獲れたものなのか知りたいところですが、残念ながらそこまでお店の方では表示されておりません。魚は漁港名などまでがよく明らかにされているのになぁ…と思います。
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塩茹でではありますが、エロおやぢの場合は若干のお醤油と酒を加え旨味風味をプラスさせております。もちろん塩だけで茹でたものだって十分に美味しいわけですが、いちどこの美味しさを知ってしまうとついつい…てなカンジです。
竹串をクチから差し込みくるりと回しながら引き抜き、ワタまで一体で取り出すのが快感です。そしてケチケチせずにぱっくりとその全てをクチに含んではぐにぐにあぐあぐと食すのです。
巻貝のワタはウニやカニミソのように濃密で深い海の滋味を湛えているのでして、食の幸福感の全てを注ぎ込んだような快楽を生み出します。そしてその身肉をクチの中に何時までも留めおきたい欲求に駆られるのです。