あをやぎ

青柳(あをやぎ)とは“ばかがい”のむき身のコトなのだ。
貝柱は「小柱」とか「あられ」、足は「舌きり」などと江戸前では呼ぶらしい。

 本来は冬から春にかけてが旬なのであるが、冷蔵庫で冷やしておいたものなどを傍らに冷酒などを置き、徐にツルリといただくのは堪えられない愉しみである。
古くから江戸前で獲れたこの貝も一時は非常に減少したが、海水の浄化が進むにつれてその漁獲高も復調していると聞く。
 ボクがこの“あをやぎ”を初めて美味しいと感じたのは二十代になってからで、それまでは
「ベツにー…」
みたいなモノだったが、あるとき静岡市内の老舗そば屋の店内で
“夏の味覚・あをやぎうどん”
という貼り紙を見つけ注文してみたのがキッカケだった。
 サラリとした関西風だしつゆに青ジソとあをやぎがトッピングされたうどん、小柱と舌きりからはシジミ汁のように白濁した旨みが滲み出て
「こんなに貝って美味しいんだ♪」
と目からウロコが落ちる思いだったコトを思い出す。
 それ以来、見つけると購入しては晩酌の肴にアテたりもするが、なかなかあの時のような感動には巡り合えないでいるものの、やはりひんやりと滑らかな舌触りの“あをやぎ”…過ぎ去った1ページを開いてくれる潮の幸なのである。



今朝の富士山
やっと梅雨明けらしい空になりました


2008.08.07. 04:52 @Fjinomiya-City