義弟の誕生会 at Restaurant 『 MITSU 』

 妹君から食事会を催したいとの電話があったのは昨日の午前中だった。やったね、コレで夕食当番から解放されるじゃん♪と一も二もなく参加表明したのは言うまでもない。

 毎年盆と正月には母君や妹君一家と食事を共にするが、たいていはどちらかの家で手料理を楽しむのがこれまでだった。
昨日もその流れかと思いノコノコ出かけては行ったのだが、ジツはこの日は妹君の御主人殿の誕生日だというコトをその場で聞き及んでは迂闊であったとハンセーなのである。

 予約してくれてあったレストランは石川光博氏がオーナーシェフであり“地食健身”にこだわるメニューで評価の高いお店だ。
一度は訪れてその情熱を確かめてみたかったのだが、機会に恵まれずそのままになっていたのでヒジョーに嬉しい。


 完全無農薬の有機野菜や富士山麓の畜産物といった食材だけを用いて作るフレンチは、氏がフランスでの修行や大使公邸料理人といった輝かしい経歴の中で培われた真の意味での“もてなしの心”に満ち溢れている。
前菜の二皿三品はそんなエッセンスが凝縮された味わいに、同席者からは感嘆の声が漏れてくる。
ブッファラ(水牛から作ったモッツァレラ)をトッピングしたベイクド・トマト、アッシェしたスーヨー胡瓜とポテトの冷菜そして健康な地野菜のマリネードといった料理が乾杯のシャンパンと素晴らしいハーモニーを奏でる。


 料理の食材だけでなくビールも地元の製品を採用しているも、やはり同じ大地から育った者同士のマッチングを考えてのコトなのだろうか。大好きなBMBのビールが飲めるだけでもニンマリなのだが、こんな料理に囲まれていただくエーデルワイスはまた格別なのね〜♪











 空芯菜のソテーと焼いた椎茸が隠された鴨のローストは見事な火の通し加減で香ばしくジューシー。
粗く叩き潰したブラックペッパーが味のエッジをエンハンスするかのように作用し、メインの料理へと次第に近づきつつあるコトを静かに告げ始める。



 カボチャの冷製スープで小休止。滑らかでクリーミィな舌触りに品の良いカボチャの香りと甘みがまったり拡がり、ここまでの楽しみに上塗りされてゆく。



 スズキのポワレには夏野菜のラタトゥィユ風が添えられていた。ほんのりとハーブの香りが漂い、すんなりと収まってゆく白身に凝縮された野菜の旨みが加わってストレスのない食味に仕上がっている。
料理毎にワインを替えて楽しみたいトコロだがそんなヨユーはなく、短い時間で食べきってしまう恥ずかしさもココにはない。



 魚料理を食べ終えたので赤ワインにスイッチ、シェフのオススメはマルゴーというコトで一本開けていただいた。
ラズベリーの絨毯に枯れた下草の香り、タンニンの丸さが驚くほどスムースなフルボディー。
長い余韻に凝縮された果実味が甘く広がる酸味となって溜息のように漏れ出てくる感じだ。 


 いよいよメインの前にフェイント…とはいっても単に驚かせるための手段ではなく、バジルのグラニテには肉料理を食す心構えが書き込まれているのよ。
味蕾にさえきちんと整列し、直立不動で待っていなさいと言わんばかりの訓示なのだ。



 朝霧牛のロースト、芝川の清流に自生するクレソン添え。
マスタードをマジックのように操り、野菜と協調させて仕上げたソースが絶品。有機栽培の玉ねぎや先のクレソンの心地よい辛味を朝霧牛の芳醇な香りと脂肪が取り囲み、噛むヨロコビを意識させてゆくのだ。
この料理のためにマルゴーがあるのか、それともマルゴーのためにこの料理が仕立てられたのか、席を共にする方々と議論する間もなく食べ終えてしまうのは仕方のないコトだろう。
誰しもが「美味い…」というコトバしか口にできないのでいるのだから。



 スイーツの前にデザート・チーズが供されるのはホンモノのフレンチの証拠でもあるだろう。
胃袋にヨユーのある方ならぜひ赤ワインとともにメインの料理の感激を語りながら、こうしたチーズで宴のフィニッシュを迎えるのが正しいフレンチの作法なのだ。









 ピーチとソルダムジュレが添えてあるのだがちょっと聞き洩らしてしまった。
この時期ならではのフレッシュ・フルーツは硬めの食感のピーチと柔らかいソルダムコントラストが楽しい。













 ミントのアイスクリームでリフレッシュ。


ハーブティーレモンバームで。


久々にゆっくり時間をかけて夕食を摂った気がする
楽しい会話と美味しい食事…
ごちそうさまでした



Restaurant MITSU
http://www.restaurant-mitsu.com/

静岡県富士宮市小泉2343-102
TEL&FAX:0544-22-4439
月曜定休

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