ムルキムチ 

コドモの頃はキムチなんてコトバは知らなかった。そう「朝鮮漬」なのである。父親が晩酌のお供に食べている端っこをちょっとつまんでは「あ〜オトナの味…」とミョーに感心しつつ、なんとなくヤミツキな辛さの虜となっていったボクなのね。

白菜をヤンニョムで漬けたペチュキムチしか知らなかったボクは、バブルの頃に韓国人が経営する大森の焼肉屋で初めて“水キムチ”なるものを食べたのだ。お店の人がサービスで出してくれたのだがその美味しさに驚き、その店の韓国人女性にキムチの概念が変わるようなこの食べ物の説明をお願いしたものだ。
賄いで作っているもので一年中コレを食べている…という。薄めの塩水のような漬け汁にはほんのりとニンニクや生姜そして唐辛子の香りがあり白菜や大根・人参といったシンプルな具材、アッサリいくらでも食べられる風は焼肉で満腹になりかけた胃袋に何の抵抗もなく入っていったのだ。
韓国の方々には一般的なキムチらしく「夏場の冷麺のツユとしても欠かせない」というが、日本ではまだあまり普及していなかったのでその後食べる機会はなかった。
先日神戸に行ったトキにお世話になったGの家でコレを食べ、あの感動が蘇ったワケなのである。あまりに美味しくてオカワリもしたし、土産にまでオネダリして持ち帰ったムルキムチ(水キムチ)なのだ。
Gはエラソーに「母上から伝わる方法で自家製している」と自慢するが、実際作っているのはヨメである奥様なのだ。その奥様はG家のムルキムチのヒミツを教えてくれて、帰り際にはレシピまで手書きして渡してくれたのだ。有難いコトであるし、またGにはモッタイナイ奥様なのだ。
ボクもいつかムルキムチを自家製しようではないか…とそのレシピは大切に保管してあるが、ジッコーできるのはいつのコトやら、と自嘲気味の懐疑を抱いているのよ。



今朝の富士山

2008.11.02. 06:37 @Fujinomiya-City