(32)紀州和歌山「極一粒・五福」


和歌山と云えばわが国の醤油製造の発祥の地として知られ、湯浅を代表とする一大産地なのである。かの地の僧侶が中国から持ち帰った“もろみ”が現代の味噌・醤油の始まりとは言われているが、今から七百年あまり前のコトというから歴史的に見ればそう長い類ではない。
それ以前は魚などの海産物に塩を加えて発酵させた“魚醤”が主体だった調味料に植物由来のアミノ酸が加わったコトによって、わが国の食文化は大きな進展を迎えることになるワケだが、同じ大豆の発酵食品である納豆が和歌山であまり製造されなかったのはどんな理由なのであったのかは知る由もない。
東日本を中心に納豆の製造業者は数多くあるが、考えてもみれば“和歌山の納豆”は聞いたコトがなかったのね。スーパーの棚にコレを見つけたときはちょっと驚き、そしてぜひ味わってみたいものだと価格も見ずにカゴに入れてしまったボクなのだ。
開封するとお約束の練カラシやタレのパックの他に乾燥ネギや白ゴマも入っている。「五福」という命名は健康・長寿・富裕・道徳・幸福を願うこのメーカーの良心なのか…栄養をトッピングで補った納豆を食べながら、ちょっと考えてみたりもしたのね。




豆紀(まめき)
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