中国家郷菜『回濤』( ホイトウ )

中華料理屋の暖簾をくぐるのは久し振りだった。メガニストのちたけ蕎麦ツアーの前日、昼食を摂りに立ち寄ったちょっとエスニックレストランのようなフンイキのお店なのである。


インテリアの写真を押さえておかなかったのはミステイクで、ちょうどアジアン市場と上海ニューウェィブのミックスみたいな加減だ。
厨師特選”と書かれたスペシャルメニューもあるが、やはりリーズナブルなランチ¥850がこの時間帯のベストだろう。10種類近くあるメインディッシュに中華のサラダバイキングとデザートは自家製杏仁豆腐まで付いているのはかなりCPが高い。
ブッフェテーブルには刻んだ野菜にカリカリオニオンをトッピングしたモノや焼ビーフン、揚げワンタンなどが置かれていてビールがあればコレだけでハラいっぱいになってしまうくらい豊かな前菜だ。


ドレも魅力テキなメニューでしばし迷ってしまうが前回は五目あんかけ焼そばを食したのでビタミンBの補給にと回鍋肉をお願いした。
大ぶりにカットされた豚ロースはドウチの香りがパーンと弾ける旨みをちりばめた味噌系ソースで炒められていて非常にレベルの高い料理だ。肉の厚みも薄からず厚過ぎずで、噛むと絶妙な反発力と肉汁がいつまでも口の中に入れておきたくなる。
もう少し若かったならゴハンをもう一膳オカワリして皿に残った汁だけで満腹の愉悦に浸るコトができただろうに…と思うと残念至極なのである。


もう一つのランチは相方と相談してキメたラーメンだ。このクソ暑いのに熱いラーメンを食すと云うのは滝のように吹き出るアセや金時の火事見舞いのようになってしまうカオをどう処理するか…というモンダイも孕んではいるが、なにせメニュウに書かれた食材を見てしまったからにはどうしても放ってはおけない一品だったのね。
『鶏肉と金針菜の塩味麺』ウム、塩ラーメンというのも気に入ったが金針菜ってのがスバラシいではないか。我が国では観賞用にだけ栽培されるユリだが、台湾では開く直前のつぼみをひとつひとつ手摘みしたものを高級食材として使うらしい。
たまたま数日前に某国営放送の料理番組でソレを知ったばかりだったので興味深々で挑むコトになったのだな。食感・風味ともにアスパラの柔らかな新芽といった体でフレッシュな旨みと香りに満ちている。目を瞑って食せば花の蕾だとは誰も思わないだろうし、茎の部分もショリショリした歯ごたえがたまらなく心地よい。そしてアッサリとした塩味のスープは雑味がなく、飲み干すまでクリアでふくよかな旨みが持続する絶品なのであった。


欲張りなボクたちは「もう一品ナニか頼もうぜ!」と水餃子もオーダーした。もちもちとした皮にたっぷりジュウシィな餡はお約束で、当然の如くソレはヨユーで実現されている。
ポイントは陳元菜を茹でたものが添えられソコにかかっているソースだ。これがまたエクセレントで、ピリリと辛い味噌ダレには五香粉系の香辛料がうっすらと配分されていて妙な食欲をくすぐる。あふれ出る肉汁は計算し尽くされた調味料のマジックによって正確にコントロールされ、全くイヤミのない味となってグルメの脳髄を直撃してくる。
ランチでなければビールは不可欠な存在だろう。次回はレギュラーメニューを求めて夕食の宴に…という設定が必要だ。寒くなる頃には上海蟹も入荷するようだし…♪


中国家郷菜 回 濤 HUI TOU(ホイトウ)
千葉市花見川区幕張町5-417-144 雄和ビル101
TEL=043-276-1991
ACT=11:30-15:00, 17:30-22:00 火曜定休