見た目はイタリアンだが食してみれば馴れた醤油の風味が…という冷製パスタである。ただしトッピングに青ジソなど用いてしまうとホントに和風になってしまうのでバジルを散らしてある。
以前に幕張のOreajiというイタリアンのお店で食した“鴨のローストと葱のパスタ”の味が忘れられなくて、何度か再現を試みている。オリーブオイルにバルサミコ酢と云うのがベースで、隠し味にハチミツを使っているところまではカンタンに解明できたが「なんかモノ足りないんだよね…」だったのである。何度かのトライの後で気が付いたのは醤油の存在だった。しかもかなりビミョーに唐辛子が見え隠れするようなアクセントもある。
最終テキに到達したレシピはまるでペペロンチーノを作る時のようにガーリックと唐辛子をオリーブオイルでじっくり加熱し、香りが出たところにジュッと醤油とバルサミコ酢を加え蜂蜜少々で甘みを調節後、仕上げにバターを…と云うシンプルなものだった。
お店のように鴨肉のローストを併せても大変に結構だし、プロシュートやパンチェッタといったハム類もスバラシい。ルッコラにトレビスなどの生野菜を一緒に和えてパルミジャーノをたっぷりと振りかけて食すのは赤白どちらのワインにも歓迎されるだろう。
しかしフィニッシュもペペロンチーノのように単純かつストレートに組み立てたこんなパスタの美味しさは、信じられないほどに印象深いものとなる。
そしてペペロンチーノが様々な応用を受け入れてくれるのと同様に、このソースもかなり守備範囲は広い。粒マスタードなど溶き入れたものなどは畜肉加工品だけでなく魚介類もカバーして大いに助かっている。
冷製パスタは通常カッペリーニやフェデリーニといった細いタイプを用いるケースが多いが、フツーのスパゲッティよりも若干細めの“スパゲッティーニ”という直径1.5〜1.7mmほどのモノもしっかりした味や歯ごたえを楽しめてよいものである。ソウメンのような極細パスタに物足りなさを感じたらコイツをお試ししてみるコトをお勧めする。
温冷いづれにも好適と云うのもまた好いトコロではないか。