復興の地から『いかなごのクギ煮』が届く

今回の震災で命を落とされた方が阪神淡路大震災での犠牲者数を現時点で超えてしまったという。あの時も信じられない気持ちでその惨状を眺めていたが、一週間が経過した今も未だにその全容が把握しきれていないということへの苛立ちが次第に募りはじめているボクだ。まあトーシローがジタバタしてもシカタがないので慌てず騒がず、冷静に対処しようではないか。
さて未曾有の災害と呼ばれ見事に復興を果たしたその神戸の地に住む友人から『いかなごのクギ煮』が送られてきた。毎年春、如月の終わるころになると禁漁が解除され弥生の月末あたりまでのごく短い期間しか漁獲されないいかなごの新子(生まれたばかりの幼魚)は明石や神戸の人々にとって重要な風物詩でもあり、獲りたての新子を甘辛い生姜醤油で煮たクギ煮がその最大のお楽しみなのである。

このクギ煮は友人の奥様が手造りして下さったものであるが、基本テキに醤油・ザラメ・みりん・生姜といった味付けで甘辛く仕上げられ、各家庭によってその特徴も異なり、近年は鷹の爪なども加えてピリ辛にするのも流行っているらしい。また小さい頃から馴染んでいて大好きなんだけどジブンで作るのはちょっと…という若年層のために専用のタレまで販売されるようになっていると聞く。

それだけ神戸の人々にとっては大切なお惣菜なのだろう、彼の地へ行けば名産品としてコレを置いていない土産物屋さんはない。ボクもヨロコビ勇んでそれを購入したりもするのだな。
たいていは生姜よりも山椒を効かせてあって、それがまた朝ゴハンにサイコー♪酒の肴にもサイコー♪ってなカンジで本当に大好物なのである。静岡で多く流通している鰯のシラス加工品とはまた違った味わいがあって食卓のバリエーションを拡大してくれる頼もしいヤツだ。
友人の奥様は7kgもの新子を購入してはクギ煮作りに没頭したらしい。しかも味付けは二種類にして目先を変え飽きさせない工夫を施したというから大したものである。厨房はさながら佃煮屋か?と思うような戦場と化していたに違いない。
上写真左が「レモン風味」そして右は「黒胡麻風味」。最初は知らずに黒ゴマの方からテをつけたのだが、単なる甘辛さではなくちょっと濃厚な風味に仕上がっていてまったりとした旨味がクチに拡がる。ウ〜ム「美味いっ!」と宮川大輔君のように叫んでしまった。こんな美味いクギ煮は喰ったことがないぞ。
どれどれ、ともうひとつのレモン風味の方をクチにする。おぉ確かにその爽やかな香りがはんなりと活きている。言われなければレモンとは気付かずに(う〜む、きっとコレはブランド柚子かスダチなどの柑橘を忍ばせてあるに違いない)などとエラソーに分析しては他人に講釈をタレたりするのだな。挙句の果てに作ったご本人から「フツーのレモンですから…」とバラされて赤っ恥をかくという図式がエロおやぢを襲うのである。
カッテな想像はさておき、このレモン風味もジツに美味い。柑橘の酸味・苦味・香りは甘辛のクギ煮と相反するハズなのに食べ終えたときの清涼感が堪らない。シツコいようだが、こんな美味いクギ煮は喰ったことがないぞ。
ゴマかレモンのドチラか一つにしろと言われてもその答えは永久に見つからないだろう、それくらいこの二つのクギ煮は優秀な作品だ。友人は添えてくれた手紙に「あまりホメると有頂天になるから忌憚なきご感想ご意見を」と書いてくれたが、いやいやもうそんなトンデモナイもったいない恐れ多いハネっ返りな裏切りなんてとても出来ないのである。
ホメて褒めて誉めぶっチ切って、また送ってもらおーという寸法である。




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今朝の富士山



5:58AM, March 19. 2011. @Fujinomiya-City