未体験ゾーン到達『鮒鮨の吸い物』

初めて食した千年伝統食「鮒鮨」のコーフンもまだ醒めやらぬうちに滋賀の友人から「吸い物にすると美味い」というコメントをいただいた。しかもその方の娘さんも好物なのだと云うから負けてはいられないのである。

若いムスメもヨロコんで食しているのに、いくら似非グルメ野郎と云えど知らないよでは沽券に関わるではないか。早速お試ししてみようと決心するエロおやぢなのであった。
しかし吸い物とひとクチに言っても様々な作り方があるものなのでいちおーちょっとだけ調べてみると、まあ要は椀に鮒鮨の切身を入れ湯をはるだけ…という単純なものであったが、料亭などでは季節の香草をあしらったり少しだけヴィジュアルにも神経を払っているようだ。
そりゃそうだな、鯛のお頭のようなリッパなものがド〜ンと据えられているなら「おぉ〜っ♪」みたいなリアクションも期待できるが、小鮒の頭部ミイラみたいなヤツが椀の中央に、しかも発酵してドロドロになったコメと一緒にフヤけているような姿ではキモくてパスしたくなるというものだ。
そうなのよ、胴体の美味しい切身は珍味として喜び食されるワケであるが、ほとんどが骨の頭部とカスのようになってしまった尻尾は捨てるにゃ惜しいしさりとて…という存在なのだな。そこで可食部分は殆ど無きに等しいが旨味成分はたっぷり含まれているソレをダシ汁にしてムダなく摂取してしまおうではないか!という発想で始められたものに違いない。
そうは云ってもアタマとシッポだけ…ってのもナニだよなあ、とオレンジ色の子もついた切身をひとつ飾りに入れ、お醤油を少々タラして熱湯をそそっと注いで高級汁物の出来上がりなのである。
ジワリと脂が浮いてきた。ややクセはあるものの独特の発酵臭を伴った滋味深い香りが立ち昇る。恐る恐るひとクチ啜ってみると意外にアッサリというか鮒の旨味がはんなりと溶け出たダシ汁となっていてハマってしまうキモチも解らなくもない。なかなかにオツなものですな。
しかし失敗したのは鮒鮨を冷蔵庫から出したてで始めてしまったので、注いだ湯の温度が下がり全体が少々ヌルくなってしまったことである。十数分でいいから常温に馴染ませておいたほうがよかったなあ。う〜ん、あと“針生姜”なんて添えて食したらもっと美味しかったかも。ってそれは反則ワザですかね…コレは琵琶湖のほとりにお住まいになられている方々のジャッジメントを待つしかない。




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なんでこんなところで固まってるのだろ
寝てるようなモゾモゾしてるような…



August 29. 2011.