神戸サミット2011 三年越しの恋 兵庫県加古川市で『かつめし』

かなり以前に静岡の地元紙夕刊記事で“加古川かつめし”を紹介していた。何の特集だったかは忘れてしまったがデミグラスソースをかけたビーフカツというところに関西らしい文化を感じ、一度は食してみたいものだと思っていた。

デパート催事やスーパーの美味いもの市あるいは駅弁大会などでもソレをよくメにはしたが、出来れば彼の地に実際に出向いて食さなければならないなあ…と半ば強迫観念のように思いこんでいたので随分長い間温めていた希望ということになる。
神戸に友人が出来て年イチで参勤するようになり(いよいよそのチャンスに恵まれたぜ!)とほくそ笑んでいたが、なかなかそう都合よくは行かず機会を強く強くうかがっていた甲斐があってか今年はとうとうその想いをジッコーに移すことが出来た。行ったことのない土地ではあるものの神戸のUが道順だけでなく案内までしてくれたので大いに助かった。やはり持つべきものは喰い意地の張った友である。

ネットで調べれば“かつめしの会”のようなものがあり、食べさせてくれるお店はいくらでも見つかるものだが、近年のソフィスティケートされたものではなく、なるべく現地のヒトがフツーに食しているようなシンプルなものが食べたいと願っていた。
そんな中にあるブログでこの“旭食堂”さんが紹介されていて、その記事を拝見するなりボクは打ちのめされてしまった。飲み屋などで流行している似非昭和レトロなどではなく、まんまそのまんま時代と店舗を引きずって営業を続けているようなのであった。素晴らしい。こーゆーところでボクはその伝統食を味わいたかったのだよ。

お店の外観は某ブログに紹介されていた通りだった。確かに年季の入った建物ではあるが不潔な印象は全くなく、それは店内も一緒でよく手入れされていることがスグに判るものだった。
白い暖簾は客が通る引き戸側が洗濯バサミでめくり上げられ細やかな心遣いが為されている。そして店舗の壁面には例のサンプルケースがしつらえられていて、コドモのころよく見たデパートの大食堂に並んでいたような洋食を中心にいくつかの代表メニューがあった。若干の色アセはあるものの、さびれた場末の食堂のようにホコリまみれになっていたりガラスが汚れていたりといった寂しいものは存在しない。ジツにキモチがよい、そして(ココは絶対に美味いぞ)という期待に連なって行くのだな。

店内はコンクリ床・デコラ張りテーブル・パイプ椅子といったお約束テキ調度品に本当にムカシから使っているんだなあと思える醤油射しやソース入れが置かれ、近年の洒落たカフェにはない異次元の空間を形成していた。
ぐるりと見回せばアメ色になったメニューボードと最近追加された手書きメニューが並んでいて、タイムスリップしたのではなく脈々と食の文化を提供し続けている生命がここにあった。
事前のハラ積りではいろいろなメニューをお願いする予定だったが、やはり同行者5名はそれぞれに“かつめし”をド〜ンと喰いたかったのかヨケーな浮気はせずに本流のみで勝負することとなった。

さあ、肝心の“かつめし”が運ばれてきた。楕円の白皿にライスがバ〜ンと盛られオトナの掌大のビーフカツ、そしてデミグラスソースがかなりたっぷりかけられていた。添え物はレタスのみ。潔い出で立ちではないか、好きだな〜こーゆーのってさ。
ちょっと柔らかめに炊かれたゴハンビーフカツの脂とソースがシミていてガサッと掬ってクチに運べば(おぉ〜ようやく… しかもなんだかイナタいお味で美味いではないか♪)なのである。

デミグラスソースというからもっとクドい風味でバターの香りがブンブンしたものかと思っていたら、味わいテキに分析するとウスターソースに限りなく近いものなのであってピリッとスパイシー、とろみはついていても油脂分が極めて少ないのかとてもさっぱりとしている。
う〜むナルホド… ビーフカツに合わせるにはコチラのほうがいいのだろう。若者には物足りないかもしれないが、胃腸の消化能力が衰え始めた我々には都合の良いものなのだ。サクサクカリカリそしてジュウシイなビーフがストレートに語りかけてくる加古川かつめし、きっとホカのお店ならもっと別のお味もあって簡単にコレだと言いきってはいけないとは思うが、戦後間もない時期からこの地で愛されている庶民の食事は大変結構なものなのであった。

かつめし”だけでは後悔すると思い“中華そば”だけサイドオーダーした。優しい鶏ガラ味のスープはキャベツがはいっているせいかとても甘く感じた。この辺りのラーメンはみんなこうだと以前にどこかで見聞きしたような記憶がある。
ゴハンと一緒で麺は柔らかく湯がいてあり、とてもカラダに優しい料理だと言っていいではないか。コテコテの脂やきつい香辛料で食す者に挑みかかってくるような近年流行のラーメンではなく、肩のチカラを抜いた食事だった気がする。
あぁ、フツーのカツ丼も喰ってみたかったなあ、後ろの客が食べていたカレーうどんもめっちゃいい香りで美味そうだったなあ、ハイシライスってどんな味なんだろ… 限りない欲望がまたまた湧いてきて困っている。老夫婦二人で営むこのお店にまた行ってみたいのよ…




旭食堂兵庫県加古川市加古川町本町364
TEL=0794-22-2804
ACT=11:00-19:00 水木定休 P有
MAP


うまいでぇ!加古川かつめしの会
http://www.kako-navi.jp/katsu-meshi/umaide/




クリック↓↓↓で応援をお願いします




加古川は静かな町だった。旭食堂さんを出てぷらりと歩けばよいお天気だけどサワヤカな風がそよと流れ、念願達成のヨロコビと相まってシアワセな時間が流れてゆく。
少し離れたショピングセンターにクルマを停めたのでそこまでの距離での印象でしかないが、地方都市の厳しい現状はいずこも同じようなのであって、この加古川市も大手流通業が集まるショッピングセンターだけにヒトが集中している。ムカシからある商店街はひっそり静まりかえっているのであった。
我々は一見の観光客なので「静かでいいねえ」などとお気楽なことを言っているが、実際ソコで暮らしている人々にしてみれば生活環境の偏向がどれほど顕著になっているのかは、哀愁のイナカ町に住むボクとしては痛いほどよく解るつもりだ。
クルマでホイホイ出かけられる自分たちはいまのところさして困ることもないが、やはり“買い物難民”と呼ばれる高齢層がジワリと増加している地方都市の現在をどうやって解決してゆくのか。

それでも子供たちは元気だ。加古川市内で100店舗以上で提供されていると云う“かつめし”は独特のスタイルなのであって、今や学校給食にも採用されているというほどのソウルフードなのかな。
そういえば富士宮やきそばは給食には出ないらしいけど。そのかわり地産地消の食育の一環として特産の“ニジマスのムニエル”なんぞが時々カオ見せするらしい。そんな富士宮の学校給食ってのはかなりヒドくて食育とか謳い文句ばかりカッコつけていてナカミは3カ月サイクルでずっと同じメニューがリピートされる最低レベル。市の給食センターには管理栄養士ってのがいるハズなんだけど、一回作ったらオッケーみたいなシゴトで給料がもらえるの?って思うのよ。その紙があれば献立の実行提供は出来るんだからアンタは不要な存在じゃないの… いかん、脱線だ。

そうそう“かつめし”のハナシねえ、スーパーでも“かつめしソース”ってのが売ってるらしくて、うっかりソレを購入してこなかったんだな。旭食堂さんでいただいたような味なのかなあ…ん〜失敗したぜ。
案内してもらえる…という油断がそーゆーミスを誘うのである。やはり遠方に出かける時、そして大切なお楽しみの旅行なんだからジブンできちんと下調べをして有意義な時間を過ごさなければもったいないよね。

そんなワケで我々はせっかく加古川まで行ったのだから神戸市内への帰路途中にある明石市に立ち寄るのだ。名物の“玉子焼(明石焼)”は以前に食しているので、今回は新鮮な海の幸があがるという「魚の棚(うおんたな)」という市場に行ってみることにした。
山陽本線明石駅のド真ん前、明石の中心部にド〜ンと存在するそれはアーケード街になっていて沢山の鮮魚店が並ぶ…という触れ込みだったが、実際はちょっとだけアテが外れたかな〜というカンジか。

魚屋さんはもちろんある程度の数はあって、明石漁港で揚がったばかりのタコや、まだピチピチとハネているエビやシャコ、近海の魚が並んでいて楽しいものだが、釧路で育って例の和商市場を知っているボクからしてみると少々物足りなさを感じてしまうものなのだ。
コレなら神戸・湊川の東山商店街のほうが圧倒テキにコーフンする。
まあソレでもせっかく来たのだから…とプラプラ見て回ればひとつやふたつ面白珍しいものもあって、ボクはタコの姿みりん干しを一枚購入してきた。お値段は¥300だったが、これでタコめしを作ると美味いらしい。えへ、楽しみだねえ…
ジツは欲しかったもののひとつに干し蛸(ちょうど竹ヒゴを骨にして拡げ洋服ハンガーみたいなカタチにしてあるもの)があったのだが、これがとってもお高いのですねえ。中くらいのものでも二千円前後、ちょっと大きなものだと軽く三千円を超えていてそうカンタンに購入できるものではなかったのね、残念。
というコトで昼の部はコレでお終い。夕闇せまる時刻には神戸元町方面へ出撃…

明石 魚の棚(うおんたな)
http://www.uonotana.or.jp/





今朝の富士山
冠雪は消えてしまいましたが、ひんやり秋の風…



6:43AM, September 28. 2011. @Fujinomiya-City











ムー吉殿
こんばんわ〜! だよな…市場と食堂の順番逆だったかな〜
って、そうすると市場でつまみ喰いし過ぎてさ、今度は食堂がつまらなくなってしまうんだよ(笑) あのタコ天は美味かったねえ、一本¥200って安かったし(´▽`*)アハハ
富士宮も商店街は焼そばで多少クビの皮が繋がってるけど、基本テキに一緒かな。特に飲食店関係のヒトの流れの偏りがひどくてね…



かぶちゃん
おはようございます! 体重増えちゃった?そりゃそーだろうなあ(笑)
喰いまくりましたねえ、焼肉たらふく喰ったあとにまだもう一軒行ってさ\(≧▽≦)丿 オカゲでボクはちょっとおみ足の調子がヤバヤバな予感(笑) ソレって飲み過ぎだから? ヤクで逃げます(´▽`*)アハハ 
やっぱりタコは茹でるか蒸すかのドッチかでしょ、かつめしのアトじゃコロッケはムリだったけど天ぷら串ならオッケーかな…って。美味かったよ〜♪ でも活きたシャコや海老を見送ったのが口惜しくてならないのよ…



焼き肉屋女将さん
風呂のイスありがとうございました(≧∇≦)b
おはようございます! 今回は春傏園さんで一枚も写真を撮りませんでした…ノ(´д`*) シツレーなハナシですよねえ、ホカじゃみな撮ってるのに〜ごめんなさい。
と云うのも、絶対に美味しいことは判っていたのでココロを集中して食べたかったのです。出していただいたお料理はどれもサイコーに美味しくて本当に満足しましたよ! あ〜また食べたい… でも来年までガマンか〜
ええ、次回は記念写真も一緒にお願いします(^o^)v



元ルーさん
ハイシライスなんですよココは、ハヤシじゃなくって\(≧▽≦)丿
おはようございます! とにかく全品制覇してみたくなるメニュー構成なんですね、なにせ老夫婦がまだ若かったころから変えてないんじゃないか…みたいな(笑)
後継者はいるのでしょうかねえ、それも地方の商店街の悩みでしょうか。きっと調理をしているおじいさんが限界を感じたらお終いなんだろうなあ…と思うと寂しいものです。
この干しタコで今度“たこめし”作りますよ〜、お楽しみに♪



チャッピ〜☆彡さん
そう“かつめし×5”って注文、大丈夫かな… って(´▽`*)アハハ
おはようございます! おじいさん、とうとう声を聞きませんでしたね(笑) おばあさんがオーダーを通すんだけど(聞いてるのかな〜)って心配になるほど無言でシゴト。
途中で鳴っていたお店の電話も、とうとうどちらも受話器を取りませんでしたねえ(爆) でもお会計が終わってサヨナラするときに厨房の奥からおじいさんが出てきてコチラにニッコリしたときはホッとしましたよ。
タコ天串美味かったね〜♪ 失敗したなあ、せっかくクルマに乗せていってもらったんだからビールも買えばよかったぜ!



う〜様
だ・か・らぁハイシライスだってば〜\(≧▽≦)丿
こんてぃわ〜! やっぱりあのソースがかかってるのかなあ(笑) 早くレポートしてね、楽しみに待ってます〜♪
旭食堂さんの“かつめし”って今思い出すと“ソースかつ丼”に近いものがありましたねえ、庶民テキな美味しさで満足しましたよ。う〜ん、フツーのカツ丼も喰ってみたい…