旬を喰らふ

戻りカツヲのタタキ

晩夏から初秋にかけて旬となる食材のひとつに「戻り鰹」がある。黒潮に乗って北上したカツヲはたっぷりと栄養を摂り、そのカラダに豊かな脂を蓄えて南の海に戻ってゆくのであるけれど、その途中で捕まえて喰っちまおうって云ういけないヒトがいるわけなのですな。

若葉のころの初カツヲはその身肉もサッパリとしていてルビイのような深紅が鮮やか、良くしたもので新緑との取り合わせがスバラシいのである。ところがそいつが遠征から戻ってくるころには魚体も大きくなって…つまり身肉も厚みが増しているってことね…脂のりもナイスな状態なのよ。
江戸っ子が好んだのはマグロの赤身、トロなんぞは下品とされていて現代とは違うって解説もあるけれどそれは多分間違っていて、見栄っ張りでお調子者の下町おやぢが体育会系の勢いだけでそうした風潮が蔓延していただけではないのか。つまり淡白な初鰹だけを好んで食したわけではなく、ワカってるヒトはちゃんと肥えたカツヲのお味だってきっちり堪能してたんじゃないかな〜と思うのよ。実際その時期、庶民ではなく中流以上の江戸市民が利用する料亭の献立を研究してみればズバリと出てくるわけである。当たり前ですよ、お殿様のルーツである紀州や水戸では戻りカツヲの料理が献上されていたんですから。


Asahi Opt.  Super-Takumar 1.4/50 (8-Elements)  @ SONY α7

ふんだんに薬味を乗せて食す『戻りカツヲのタタキ』はたまらなく美味い。海辺の町で造られるやや甘口のお酒もよく合うけれど、やはりがっつ〜んと「げんこつ」を喰らうような辛口の日本酒が本命だろう。幸いなことに哀愁のイナカ町にはそうした良質で粋な酒を提供してくれる名酒蔵がいくつかあって、こうした料理を供する場合は抜かりなく準備出来るところは有難い。

もちろんその調味には“自家製の醤油ポン酢”を用いるのだけれど、近年流行している“塩で喰う”のも悪くない。ファットなカツヲ本来のお味がよく判るし食べ飽きることもないけれど、やっぱり最後は醤油ポン酢に帰ってしまうのはナゼだろう。とにかく美味いんだ、タマネギやニンニクの辛みが抑制されるってのもあるのかな、その他の薬味類だって塩だけより醤油の旨味が加わった方がより美味しくいただけるからねえ。
ヤバいですよ、こーゆー肴って。もう酒がススんじゃってススんじゃって…失敗したなあ、もっとたくさん飲りたいからレギュラークラスの日本酒も用意しておけばよかったぜ。そう最近は「コップ酒」ってのがエラく気に入ってしまいましてね、気兼ねなくいただけるやつをグビりグビりと飲るのがいいんです。ただ例のビョーキのこともありますから節制は必要なんですけどね。
それでいいキブンになってフィニッシュに「秋のお彼岸おはぎ」ですか、まあこいつも本当にその美味しさを味わいたいのならデロデロになるまで飲んではいけません。最後まで凛として酒食を楽しみ、香り佳き緑茶と共に和菓子をいただく…そーゆーことが出来るようになりました、最近になって。




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リコリスラジアータ


いやいや、ヒガンバナのことですよ
でもこの学名ってちょっとコワい意味がありましてね
リコリスはリコリンという毒を含む花のこと
田んぼの畦にこの花が多いのは
昔ネズミやモグラを嫌忌させるために植えられたって説もある
そういえばこの花が増えてから当家のモグラ被害も減ったような



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