■ 栽培技術の進歩
昔は天然モノの山芋…つまり自然薯ってやつね、これは非常に高価だった。そう貴重なものではないのだけれど人里から少し離れた山中などに自生し、何よりそれを掘り出す労力が尋常ではなかったからなのね。
何せ専用の道具(細長いスコップ状の突き鍬)があるくらいだからソコラのトーシローには手に負えない。まあ労力をかけた分とても滋養豊富で美味いものがテに入るわけだから、こいつの収穫に執念を燃やすヒトも現れるわけである。
ボクも何度かそういったヒトたちに誘われたことはあったけれど、そりゃその苦労を知っているだけに丁寧にお断り申し上げてきたのは言うまでもない。
真夏のうちから自然薯の若いツルに自分だけが判る目印をつけては秋の収穫期に山に分け入っては掘り出してくる…というご苦労様なことを毎年ジッコーしているらしく、夫々がヒミツの場所を押さえてはニンマリしているようだ。
決して悪いシュミではないし体力増進と健康維持そして美食がトリプルゲットできるのは素晴らしいことだけれども、日々肉体労働に勤しむ身としては休日くらいもう少しカラダのケアに充てたいのが切実な願いでありましてね。
だからその自然薯ゲッターを超ラクチンに済ませようとチエを絞る者もあらわれるのよね。聞くところによると自然薯のツルを採ってきては砂地に刺した塩化ビニールのパイプの中で生育させると、あの曲がりクネって捩れた自然薯はすんなり真っ直ぐに育ち、食味もそう変わらないものになるのだと云う。そうか、大量生産の奥義はそこにあったのね。
KMZ JUPITER-8 2/50 @ SONY α7
すっかり庶民価格にまで落ち着いた自然薯ですから(そうは言ってもヤマトイモや手芋に比較するとまだまだ高価)ときどき購入してきては食すわけですよ。ヒゲ根は火で炙って焦がし落とし、さっと水洗いして皮ごとすりおろす。強いネバリと適度な水分、そしてふくよかでわくわくする香りがスリ鉢から立ち上がるわけですな。
そこにマグロの切り身を乗せてワサビ醤油…あぁ、なんて天国なんでしょう。もちろん日本酒がズバリと来るわけでして、これはオーバードリンクに大いなる注意を払わなければせっかくの滋養強壮食品が台無しになってしまうのです。
そして副産物の「ムカゴ」も一緒にいただきましょう。塩茹でも美味ですしバター炒めもイケてます。う~ん、やっぱりお酒が足りない気がしてくるのでして…。