大根おろしのリズム

ポークロースのレモンバターソテー

豚の薄切りロース肉をバターでソテーして食す…ごくごくありきたりな料理であります。
これにお醤油をちょいと垂らせば…いわゆる " バター醤油 " ってやつですな…和洋折衷の粋なお味となって誰もがスキなあのお味になるわけです。ニンニクを加えれば流行のガリバタ醤油、そりゃ美味いに決まってます。

別ルートのレシピですとレモンバターってものもありましてね、それはフレンチのテクニックであります。サーモンや舌平目のムニエルなどでよく使われる方程式で、淡白な魚の旨味や香りを殺さずにコクと旨味とサワヤカさ…という難しい鼎立状態を絶妙にバランスさせる優れたレシピなのですな。
豚肉のロースは畜肉とは言え淡白な部類なのでそうしたテクニックも流用可能なわけでして、調理過程もジツにシンプル、失敗が少ないこともいーかげんなエロおやぢに向いているんじゃないか…などと気取らずに導入できるところもいいのよ。

ポークロースのレモンバターソテー   Nikon Ai-S NIKKOR 1.4/50 (Stepped Nose)  SONY α7


ところがソコに " 大根おろし " ってものが乱入してくるとハナシはずいぶん複雑になってくるのだな。いやいや、調理はな~んにも難しくありません、レモンバターでソテーした豚ロースをお皿に盛りつけたらそいつをトッピングするだけですから。
その " 大根おろし " にお醤油をぴゅ~っと…そうね、最近のテーブル醤油は密封ボトルタイプが多くなっていて、タラ~リじゃなくてぴゅ~っと押し出す感覚なのよ…かけてレモンバターの豚肉でマキマキして食せば「あら~、なんて美味しいのよっ!」 てなことになるわけです。
それまでフレンチポップスのリズムで「オォ~シャンゼリゼ~♪」みたいに明るく軽快なテンポだった食卓が、いきなり「ヲンナの操~♪」テキな湿り気の多いミディアムスローなものに引っ張られてゆくわけです。
しかしそれは決して悪くはないのですよ、ゴッホが広重の版画の構図や色彩を取り入れた油絵を描いたように、なんだかフシギでエキゾチックなものが生まれているのですね。美味い、本当に美味い。
フレンチの名シェフならば、この大根おろしのリズムをどう活用するのか…いちど訊いてみたいものだと思います。

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庭風景  紅色の小菊


三種の小菊のトリはこの紅色のものです

初冬の昼下がり
長い影
少し冷たい風

微かに揺れる花は師走の足音



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庭風景 紅色の小菊   Arsenal V.I.Lenine MC HELIOS-81N 2/50  SONY α7