■ きのこ蕎麦
青森県に居住する知人が " 天然きのこの水煮 " を送ってくれました。十月中旬から十一月初旬にかけて山野に自生するきのこ…つまり天然モノですな、それをある程度保存できるように水煮にしビン詰めしたものであります。

ビン詰めと云っても常温で長期保存できるタイプではなく「要冷蔵」となっていて、利便性よりも食味を優先させたものであることが判ります。
さて、こいつはどうやっていただくのが正解なのか…と無いチエを絞り出してみるエロおやぢではありませけれど、無いものは無いのでありまして温かな蕎麦のトッピングにして食すことくらいしか思いつかないわけです。

それでもいくら水煮だからと言って単純にトッピングするだけでは本当に美味しいものにはならない…そんな経験則がありますから、蕎麦の出汁でサッと煮てやることにしました。茹でた蕎麦に天然きのこ入りの出汁をダダっとかけてやるだけの事ですが、出汁にはきのこのトロミが薄くついて、これがまた堪らなくいいのですな、美味い美味い。
三種のきのこそれぞれの香りや食感の違いを感じながら、蕎麦と出汁に一体となって溶け込んでいる旨味をズズっと堪能するわけです、あぁいい感じです。いや~こんなゼイタクなきのこ料理は初めてであります。国産松茸?おとといやってきやがれ!てなもんだい、ボクにとってはコッチのほうが圧倒テキに愛情を感じるのよ。
これを食したのは初冬のころでありまして、きのこ各種も出揃ってしばらくしてから。しかも水煮ビン詰めを使って…なんて、まるで " あとだしジャンケン " みたいなズルさではありますけれど、美味いもんを喰いたけりゃ多少の狡猾さも必要ってことですな、うふ。

知人はかの地でムカシから愛されているお菓子も一緒に送ってくれました。高級だとかバエるなんていう類のものではありません、その名称は『フライボール』、シンプルで素朴な " あんドーナツ " でありますけれど、これがまためっちゃ美味いんだ!
昭和四年の創業当時から製造販売されている伝統菓子、地元の方々がこよなく愛する郷土の味…まさにそんな感じでしょう。同封されているパンフレットには「油菓子ですが、ちょっとした工夫でさっぱりとした仕上がりとなっております」となっておりまして、その " ちょっとした工夫 " というフレーズに思わず笑みがこぼれてしまうわけです。
ハデな部分はありませんがマジメで実直、しみじみと優しさが伝わってくるお菓子であります。青森の方々のお人柄が反映されているようであります。
◆ お菓子工房 やなぎや
http://o-yanagiya.jp/