焼鳥と鰹のタタキ

まさに王道である。
強いて言えばというモノはあるが酒の種類も選ばない。

この鶏肉も一昨日“まんさいかん”で購入してきたものだ。何度か試しているが、ココの地鶏はハズレなく美味しい。
肉質の良さとハリのある皮とその脂肪、こうして塩胡椒だけで食すとその違いが如実に現れ、ムダな動きのない感動を覚える。
焼鳥といえばいくら塩とは云え、たいていは辛子や唐辛子あるいは辛子味噌といった香辛料をちょっとは添えて食べてみたくなるものだが、昨晩はそのコトさえ忘れていた。
それくらいカンペキな味覚のお手本だったのかもしれない。
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そしてこの時期ならではのカツヲのタタキ。たっぷり薬味をのせて楽しむタタキは焼鳥に一歩もヒケを取らないばかりか、五種の和ハーブがその味覚領域にまで踏みこんできて壮絶な戦いを繰り広げる。
覚醒した舌がどちらも求め続け、焼酎が仲裁をする食卓はにぎやかだ。



その焼酎とはほんのりと紫蘇が香るクリアーな味の新顔だった。
タンタカという名前にも魅かれたのは釧路に住んでいたコロよく食べた魚でもあり、アイヌ伝説にも登場する庶民テキな魚なのだ。
この焼酎に使われている紫蘇の産地である隣町・白糠から釧路までは砂浜が続いていて、コドモのころはよく投げ釣りなどに出かけたものだ。
ボクらが釣るのはたいていウグイやイシガレイなどの小物だったが、体力の強いオトナなどは深場に生息するタンタカを釣り上げるコトもあり、羨ましく思ったものだ。
淡白な風味のタンタカの刺身をアテに飲る一杯の焼酎、タンタカタン…と調子のよいヒビキもイイではないか。