加賀野菜『金時草』お茶漬けバージョン

たまにはお茶漬けサ〜ラサラもいいだろうと思い、頂きモノの茶漬けの元を手にしてみた。
のっけから読み方を間違えていたコトに気付き、ちょっとマジメに調べてみる気にもなったのだ。

 キントキソウだとばかり思っていたが「キンジソウ」が正しい名称。加賀野菜の伝統テキ代表でもあるこのキク科の多年草インドネシアが原産、和名を“水前寺菜”といい他の地域ではあまり栽培されていないそうだ。
沖縄や熊本でわずかに出荷されているだけ…というトコロでピンと来るのは、サツマイモ(キントキイモ)の赤紫色を“水前寺菜”の葉の裏側の鮮やかな赤紫をイメージに重ねて「金時草」、そしてキンジソウという名前の由来となっていったコトは想像に難くない。
 茹でるとモロヘイヤのようなヌメリが出る特徴から“おひたし”や“酢の物”に多く用いられる。ビタミンA・鉄分・カルシウムを多く含んだ夏の健康野菜ではあるが、そうした栄養価の優位性もさることながらヌメリが非常にカラダに効くというのは医学的にも証明されている。
山芋やオクラなどでおなじみのネバネバは「ムチン」という成分によるもので、食欲不振や消化不良を防ぎ胃炎や潰瘍を予防する働きをしてくれる。そして抗ウィルス性やコレステロール吸着といったスバラシい報告もあり、加賀伝統野菜は名前だけでその威光を放っていたワケではないのである。
 一杯のお茶漬けからこんなコトをひも解いてゆくのもナカナカに面白いものであるが、せっかくオナカがいい具合になったのに脳ミソを使いすぎて、また空腹を感じるようになってしまったのには少し困ったのである。
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 お茶漬けと云えばボクは鮭なのである。知床の親戚から毎年送られてくる塩の効いた新巻鮭を焼きほぐし、白ゴマ、焼海苔、三つ葉、そしておろしワサビを添えて緑茶を回しかける…
何物にも替え難い、最強の茶漬けなのだ!と断言してしまおうではないか。
飲んだアトのシメにコイツをやろうものなら一杯では収まらず、つい二杯三杯とテが出てしまうのには困りものなのだが…
 新茶の季節には何も乗せずに白飯に緑茶のみ、という潔い茶漬けも素晴らしい。せいぜい塩昆布か梅干し程度にしておくのが最上だが、例の“しおふきあさり”ってーのも相当な期待を寄せて構わないだろうな。
来年の八十八夜が楽しみになってしまったのね。